週末最後の仕事を終えて帰宅した後、食事も済ませて風呂にも入り、あとは寝るだけ、という段階で、どうせ今夜も見るだろう夢の事が気になって、なかなか眠りにつけないでいた。
 独り暮らしを始める際に奮発して買った、一人にしては少し大きめのセミダブルのベッドの上で、ゴロゴロと体の向きを変えながら、もう何度目ともわからぬ溜め息をつく。
 あの夢を見続けるようになってからというもの、私はこうして布団の中で無駄な時間を過ごすようになっていた。

 いつもなら早く寝なきゃ翌日の仕事に影響するけど、どうせ明日は休みだ。何も無理に真面目に寝なくてもいいのかもしれない。
 寝ても寝た気がしない質の悪い睡眠との所為で、仕事の疲れは夢を見るようになる以前より自身の心身を共に蝕んでいくけども、こうして陰鬱になるくらいならば、睡魔に襲われるまで起きて待っていよう。

 そう思い、布団を抜け出した私は、寝室からリビングへと戻り電気を点け直す。
 さて、どうしようか、と眠くなるまでどう過ごすかを改めて考え、以前に見たいと思っていた映画を思い出す。
 今からレンタルしに行くのは少し面倒な気もするけど、他に何かしたいと思うような事も浮かばない。
 パジャマとして着ていたマキシ丈のパーカーワンピをチラリと見下ろし、どうせ夜だから多少着古された感があっても大丈夫だろうと、上から薄手のジャケットを羽織るだけで身支度を終了させた。
 財布を持ち、歩いて数分の距離にあるレンタル屋へ向かうべく外へと出れば、冷たい風が真正面から襲ってくる。時季的には、秋から冬への変わり目だけど、夜になればもうほとんど冬と変わらないのかもしれない。
 どこまでも追いかけてくる風に急かされるように、私は足を動かした。

 レンタル屋で目的の物を無事に発見し、ついでに気になった物も数枚、一緒に借りてきた。家へと戻る途中、コンビニに寄って購入してきたお酒とつまみをテーブルに広げ、DVDをセットする。
 プシュッと音を鳴らせて口を開けた缶から直に喉に流し込んで、再生された映像を見ていれば、気付けば夢中になっていた。

 そういえば、こんな風に夜にのんびり過ごすのは久しぶりかもしれない。平日は無理でも、休みの前日くらい、もっと早くこうしていればよかった。どんなに抗おうとしても、夢の有無は意識してどうこうなるものでもない。
 少しでも気分転換になる事や紛らわしたり出来る事があるなら、それをしてから眠りにつく方がきっと良い。
 
 一つ目の映画を見終わり、二つ目へと手を伸ばして機械に飲み込ませて、再生する前に一旦、寝室に入り毛布を持ってリビングに座り直す。肩からかけるように毛布にくるまってから、新たなお酒を手にして再生ボタンを押した。








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