小学六年の頃かな。僕の部屋に彼を呼んで、二人でゲームをしていたんだ。そうしたらね、突然、彼が抱きしめてきて。お前シコったことある? なんて聞いてきた。
性的な話を彼とはそれまでしたことがなくて、唖然としているうちにさ。いきなり、ズボンの上からペニスを揉まれた。十二歳で精通することが多いみたいなんだけど僕は、まだしていなかったんだ。ただ、保健の授業でそれは知っていて。好奇心はあったよ。
彼に弄られて、何がなんだかわからなくなって。快感はあったのだけれど、精通していないのだから精液が出ることもなく。そうこうしているうちに、彼の、ペニスも勃起していることに気づいたんだ。
自分だけが気持ちよくさせてもらっていることに気が引けた。だから、僕は、そこに手を伸ばして、彼がしてくれているのと同じようにこすった。そうしたらね、すごく嬉しそうに、微笑まれたんだ。
その日から、彼が家にくるたびこすりあいをしていた。ただ、僕としてはもちろん、そこに恋愛感情なんてなかった。だってゲイじゃあなかったからね。
一年くらいが経過した頃に僕は精通したのだけれど、その日、彼に報告をしてみたら、これで楽しみが二倍になるって言われたかな。
ただ、自分たちが何かおかしいとは中々気がつかなかった。どこかおかしいような気はしていたのだけれど、美味しい餌を与えられ、好奇心も満たされて、その環境に満足してしまっていた。水族館に住む魚もきっと、そんな感じではないかな。
泳いでいるうちに、ふと、ガラスの向こう側にある情報が目に入ってきたんだ。男同士でそんなことはしないって、気がついたのは中学二年の頃だったかな。遅いって? そりゃあ、僕は、彼としか仲良くなかったからね。何せ根暗で、人見知りが激しくて、挨拶をされてもどもることしかできないような、人からはあまり好かれない性質だったから。情報の入る速度が遅かったのさ。
泊まってゆくと言い、一緒に風呂へ入って湯船に向かい合わせで浸かった時、僕は、やめようと言った。なんだか怖くなったんだ。自分がどこか知らないところへ強引に連れてゆかれているような気がした。駄目なことだ。いけない。これは、誰にも言えないようなことなのだから、と、彼へ伝えた。
そうしたらね。彼の足が、僕の、股間に伸びてきて。かかとでぐりっとペニスを弄られ、勃起してしまった。もうお互い、どこがいいところなのか知り尽くしていたから、そうさせるのは彼にとって安易だっただろう。馬鹿、もっといいことしようと思ってたのに、いまさら止められるかよ。と、濁りのない笑みを見せられた。
人を滅ぼすのは、好奇心だと思うよ。ほら、さっきから君が、股間を押さえているように。好奇心に突き動かされて、茨の中へ突っ込んでゆき、棘で、服どころか肌までもがズタズタに切り裂かれるんだ。そこから流れ出した血は何の慰めにもならないし、痛みをもたらすだけ。ま、これは僕の持論なんだけれど。
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