どれくらいの時間が経っただろうか。いや、止まったままだろうか...。
仮の地に座り込んだままのルキの視線の先には、仮の地に倒れてもう動く事の無い銀狼の姿だけがある。
「銀狼...?」
もう返事をしてくれない事も、彼の声を聞くことはできないのだと頭では理解しているのに...どうしても心は、その事実を拒絶している。受け入れたくない。
「ねえ、銀狼...私の声には返事を返してくれないの?いつもみたいに唸り声でもいいから...」
少し遠い銀狼に手を伸ばすと、彼の傍に一瞬で近付いた。今までこんな事はできなかったはずなのに...。
彼に触れてもその温もりは消えつつあった。また、自分は何も守れなかったのだろうか?認めたくない、銀狼をも失うなど認められない。
「青龍、助けてっ...!」
もういない、青龍にさえも助けを求めた。どうして私の大切な人達は、自分の前からいなくなるのだろう。
それが自分の生まれついたすべてで、運命だとでもいうのだろうか...。
ーーーふざけるな、ふざけるな、ふざけるなッ...!
「ッ................!」
ルキの強い感情に任せて、この世界の廻間に嵐のように荒れ狂う銀風が吹いている。
銀風で舞い上がる黒い髪で隠れたルキの顔。その隙間から覗く頬に涙が伝い、黒髪と一緒に銀風に巻き上げられる。
「銀狼ーーーーーー!!」
これは過去の輪廻だろうか...。
私はまた、同じ結末を選んでしまったのだろうか。
終焉を、最期を、独りになることを...。
「消えないで、いなくならないで...私を、独りに、しないでッ...」
もう誰もいない、もう誰もいない...自分1人だけ。もう誰も、自分を必要としてくれない。
またあの頃に逆戻り。
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