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ぱたぱたと走って行った明翠を見送りつつ縁側から失礼することにした
行儀は悪いが、前に許可をとったので目をつぶって欲しい

しかし、名前を呼ばれるのも中々悪くない
むしろ良い

「?」

「!」

「お邪魔してます」

「あ・・、的場さん・・いらっしゃい」

「明翠なら、すぐ来ると思いますよ?」

「いえ、姉に貸したものを返してもらいに来たので、もう大丈夫です」

明翠の部屋から出ていく彼女の妹を見送り
相変わらず片付かない部屋だなと思う
古い文書が積まれ
紙の束だったり、封印具が置かれている
そして、極めつけの畳にベッド

洋式の家具と対称的に筆や炭、その他和風の物が並ぶ
明翠の部屋は何度見ても不思議だ

これは、余談だが普段から洋服が多い彼女の
和服の姿は、見る価値がある


しかし、先ほど出て行った彼女の妹は、何をしていたんだろうか
焦る必要なんてなかったはずだが・・・と、考えていると
明翠が部屋に入ってきた

「さっき、妹がいたよ」

『・・・彩季が?』

「なんだか、貸した物を取戻しに来たって言って、すぐ出てったけど」

『貸した物?』

「心当たりない?」

『何も借りてないと思うけど・・・』

部屋の真ん中のテーブルに持って来たものを置いて
物の確認をし始める

『一応、重要なものには結界はってあるし、札があるから心配ないと思うんだけど』

「?」

『さすがに、本の冊数までは覚えてないしなぁ』

「・・・そういえば、この前の会合の時、来てたな」

『うん・・・興味が湧いたのかな。それなら、ちゃんと言ってくれればいいのに』

明翠の口ぶりからして、妹は何かしら隠れてやっているらしい
先ほどの焦った様子は、そのせいか・・・

『それで、的場、宿題の範囲教えてよっ!!』

呼び方が戻っている
・・・まぁ、期待なんてしていないのだけど

範囲を教えれば、絶望したように項垂れて
『・・・終わるはずない』とぼやいた



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