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―――カキンッ



「……!」

「…何のつもり…―――赤ん坊」




黒い、無機質な銃が私を守るようにトンファーを受け止めていた。
しかも黒い影は不機嫌そうな雰囲気を醸し出して。
リボーン、と思わず彼の名を紡ぐと不機嫌そうに細められた眼が私に向かう。

そんな目は怖くない。
だって、リボーンが優しいことくらい、知っているから。




「雲雀とアイツは結婚なんかしてねぇぞ。これはただのペアリングだ」




お前の考えてるような関係じゃねぇ。

そう読心術で読める心の声が聞こえてくる。

……ほら、やっぱり。リボーンは、優しい。
私が十年前、雲雀さんが好きだったことを知っててそう言ってくれる。
当然だけど意味の分からない雲雀さんはとりあえずトンファーを仕舞ってくれた。

リボーンは私をわざと自分の背に隠して、雲雀さんと向き合う。




「こいつは『neve nera』だ。お前も知ってるだろ?」

「この子が、あの有名なヒットマン…?」




信じられない、とばかりの視線が私に注がれるのがわかる。
でもリボーンがさらに私を庇うような形で背中で隠してくれた。

……ごめん、リボーン。
貴方が優しいと私はその優しさに縋ってしまう。
いつだって、そう……




「そうだぞ。こいつは今日からボンゴレ専属のヒットマンだ。
だから、味方ってとこだ。オレと同じ立場だからな」

「……ふぅん、そう」

「もういいだろ」

「まぁね。きっとすぐに連絡がくるだろうし……それに、郁織が喜ぶと思うし」




ズキリ、と一層心臓が痛くなった。

郁織、郁織……あの子のことを、そんなに優しく呼ぶなんて。
いつでもあの子が一番で。
私なんて……眼中に、なくて。
ただの、大切なあの子の、友人の一人としか、見られなくて。

―――あぁ、涙が、出そう、だよ……っ

(つらい……なんで、もう、諦めたはず、なのに…っ)

無意識のうちにリボーンのスーツの裾を握ってしまっていて、リボーンの肩がピクリ、と動く。

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