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まるで監視ね、と皮肉げに笑うと獄寺隼人は思いっきり睨んでくる。
山本武は苦笑して「悪りぃな」なんて言うから中学の時から変わらないな、と思った。
黒い車から出るとボンゴレの屋敷がそびえ立っているのが目に入る。
ここからは二人が先に入るみたいで、私はその後を大人しくついて行った。
途中何度も「コイツ誰だ?」みたいな視線を浴びて殺気立ってしまったけど何とか耐える。

本当……こういう野次馬のような視線は大嫌い。

しばらく歩いていけばやっと沢田綱吉の執務室に着いた。
獄寺隼人がコンコン、とノックするとはい、という声が中から聞こえる。
中にいる気配は……1、2、3、4…4人か。
失礼します、と獄寺隼人がドアを開け、その後に山本武、そして私が入る。
中を見渡せば…微笑んでいる沢田綱吉とリボーン、骸、それに知らない男の子が一人いた。

そう…男の人、ではなく、男の『子』。
つまり、子どもなのだ。
くるくる頭にまだ幼さが残るような顔つき、…牛柄のシャツ。
そんな彼を一瞥して再び沢田綱吉に視線を向ける。




「翠徠、さっきぶり」

「…こんにちは」

「まだ一人きてないんだけど…とりあえず、紹介するね。
そっちから嵐の獄寺隼人。雨の山本武。雷のランボ。霧の六道骸。
獄寺君と山本は中学が一緒だから知ってるよね」

「えぇ…あと骸も、知ってる」




骸に視線を向ければ柔らかく微笑んでくれた。
その笑顔に小さく笑いかけると沢田綱吉から微量の殺気が感じられる。
本当に……集中していないと感じられないくらいの、殺気。
きっと気づいているのは骸と私とリボーンくらいだ。
どうして殺気立つのかしら、と視線を戻すとその小さな殺気はなかったように消えていった。

…本当に、何だったんだろう。




「そうだったんだ?じゃあ、ランボだけが初対面だね」

「は、初めまして。翠徠さん…!」

「初めまして」




差し出された手に手を重ねて握手をする。
するとランボ、くん、は感動したように目をキラキラさせて私を見上げた。
純粋な、目…子ども特有の、眼差し。
この子はきっとマフィアにしては優しすぎる子どもなんだと、思った。

(本当に…守護者にはもったいないな)

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