1



大丈夫?と綱吉に心配そうな声音で尋ねられて、えぇ、と曖昧に頷く。

今、神経の緊張を解けば…きっと私の体は震えてしまう。…ただの、女の子のように。
それは私の矜持が許さなかったし、何より……

そっと長い溜息を慎重に吐き出して、愛銃を太股のところに戻す。




「…どうしてわかったの?」

「愛の力、とか言ってみたいけど…リボーンなんだ」

「え…?」

「リボーンが、翠徠が連れて行かれたことに気づいてね…
その後怪しげな奴らがどこかに行こうとしていたのを捕まえて、ここを吐かせたんだ」




リボーンが、気づいてくれた…?

その事実に目を丸くしながら、余計に解せなかった。

…どうして、気づいた本人が、ここにいないの…?
別にいることを期待したわけじゃないんだけど……なんだろう、この、不快感。

いないことに対する不快感では、ない。

胸にこみ上げてくるような焦燥…いや、どちらかというと嫌な予感に胸がざわめく。

そして酷く頭に残る、白蘭の「お祭りの始まり」という、声。

何……一体、この違和感。そもそも私が連れ去られたのは、一体どうして…?




「十代目、大変ですっ!」

「隼人?…どうしたの?」

「それがっ…先程部下から連絡がありまして、本部が襲撃されたと…!」


「「「…!」」」


「今は残られているリボーンさんが食い止めているらしいのですが、」




すでに、厳しいとのことで……




「…っ、!」





獄寺隼人の言葉に私の体は無意識に走り出していた。


やっと、やっと全てが繋がった…!
白蘭が私を連れ去ったのはただの餌。囮だったんだ。

―――ボスである、綱吉や最強の守護者、雲雀恭弥を本部から引き離すため。


そして、リボーンがこの場にいない理由……

リボーンは…わかっていたんだ。私が、囮であることを。
だから私の救助(…なんていうのも嫌だけど)綱吉達に行かせて、自分は空に近い本部を……っ


なんて危険なことしているのよ、リボーン…!

- 94 -

*前次#

back

ページ:


ALICE+