(芥川とふみちゃんが出ません。名前のみ)
※後半キャラ壊れ入ります。
許せる方のみお読みください↓








敦「はぁ……。」



武装探偵社社員・中島敦は、本日何度目か分からない溜息を吐いた。



国「おい、敦」


国木田に名を呼ばれたにも関わらずぼんやりと空中を見つめる敦はペンを持った手とは反対の手で頬杖をつきながら溜息を再び吐いた。



国「おい{emj_ip_0792}聞いているのか{emj_ip_0793}」



敦「うぇ{emj_ip_0793}はい{emj_ip_0793}え、何でしょう国木田さん{emj_ip_0792}」


痺れを切らし声を荒げる国木田にやっと敦は気づき驚きながらも国木田へと返事をする敦を見て国木田は、眼鏡のブリッジを上げながら溜息を吐いた。



国「敦、貴様2日前からおかしいぞ?」


敦「おかしい…ですか?」


国木田の言葉に首を傾げる敦に国木田は、ここ2日間の敦のおかしかった行動を話し始めた。



国「まず、トイレットペーパーを頼んだ筈が何故かティッシュペーパーを買ってくる。
卵を頼んだ筈が煮卵を買ってくるし太宰を捕まえて来いと言ったのに何故か新しい包帯を大量に購入してきたり、本当に何故か分からぬが太宰が麦茶を頼んだのにコップに入っていたのは麺つゆだったりとこの2日間のお前の行動は可笑しいぞ?」




真剣に心配する国木田に敦は、申し訳ない気持ちになった。
敦自身もこの2日間、何処か上の空だという事には気がついていたのだ。
頑張ろう頑張ろうと思っては居るものの気づいた時には、ある人物の事を考えてしまい上の空になってしまっているのだ。



敦「すいません…。皆さんに迷惑をお掛けしてしまって…。」



みんなに迷惑を掛けてしまっている。そんな自分自身に敦は情けなく感じてしまった。
そんな事を思いながらも敦の脳裏の片隅に黒い髪を揺らした黒い外套の女性がチラついていた。




太「ふみちゃんに会ってからだね。敦くんがおかしいのは。」




今までの敦と国木田のやり取りを見ていた太宰が口を開き、敦へと言った。
国木田は太宰の言葉に「ふみ…?」と聞きなれない名前に首を傾げた。







“ふみ”






太宰の口からその名が出た瞬間、敦の心臓はドクンッと音を立てた。
かぁぁっと熱を持ち出した頬にドキドキと高鳴り出す心臓に敦は胸の辺りの服をギュッと握る事しか出来なかった。



そんな敦に国木田は気づく事なく、太宰へとその名の人物は誰かを問いかけていた。


太「芥川くんの双子の妹だよ。
名前は芥川ふみちゃん。
彼女もポートマフィアに所属しててね、可愛いんだよ。美人さんだしね。」


いつも心中を申し込むんだけど、嫌そうな顔をして断られるんだよぉっと言うと太宰は、懐から一枚の写真を取り出し国木田へと見せた。


国木田と敦がその写真に目をやると今、話していた人物である芥川ふみが写っていた。
被写体が正面を向いていない事からその写真は盗撮されたものだと思われた。


国「芥川に双子の妹が居たのか…」


太「彼女は、あんまり外に出ないからね。でたとしても横浜の街での仕事では無く、地方の仕事をしてる事が多いみたいだよ。」


と話す太宰と国木田の話を敦は横耳で聞きながら目線は太宰が持つふみの写真へと釘付けだった。


そんな敦に気づいた太宰は、写真を猫じゃらしを操る様に左右上下斜めなどにヒラヒラと動かすと敦の視線も猫じゃらしを追う猫の様に写真の動いた方へと向けられていた。


国「何をしてるんだ…太宰に敦。」



その光景を見て溜息を吐く国木田に敦は我に返り「いや、あの、その、違うんです{emj_ip_0792}」としどろもどろになっていた。
太宰は、そんな敦を見てにやぁと笑うと「なになに?敦くん、もしかしてもしかしてぇ」と楽しげな声をあげた。







太「ふみちゃんに惚れちゃったのかい?」






にやにや笑う太宰の言葉を聞いた敦は、顔が真っ赤になりドキドキと更に胸が高鳴るのが分かった。
真っ赤になった顔を見せたく無くて敦は下を向き、顔を両手で覆った。



てっきり「違いますよ!」と返ってくるかと思っていた太宰は、予想外の敦の表情に驚き目を見開くと一瞬にして優しげな表情になり敦に再度問いかけた。






太「惚れちゃったの?ふみちゃんに。」






先程とは違い、優しげな声色に敦は顔を伏せたままコクリと頷いた。



そんな敦の頭をポンと太宰は、撫でると「何処に惚れたんだい?」と尋ねた。



敦「あの、その……


多分……一目惚れです。


一眼見た時からずっと彼女の姿と声が忘れられなくて……」




あの後、帰ってからずっと頭の中をぐるぐる回るのは彼女の事ばかり。
街中を歩いてても、会えないかなとか考えてしまい仕事にも身が入らない。




彼女の好きな食べ物は何だろう?
彼女の好きな色は?動物は?本は?




知りたくて知りたくて仕方がない。




敦「僕は、何も知らないんです。彼女の事も……恋も…何も…」




そう言う敦に太宰と国木田は、顔を見合わせた。



太「敦くん。知らないなら知れば良いんじゃないかな。」


敦「知らないなら知る…?」



顔を上げて太宰を見つめる敦に太宰は、にっこりと笑い頷いた。



太「知らないなら知り、そして自身の事をふみちゃんに知ってもらえば良いのだよ。」



敦「知り、そして知ってもらう……。」




そう呟く敦の頭を太宰は、ポンと撫でた。





太「そうすれば、ふみちゃんも敦の事を好きになってくれるかも知れないよ?」


恋はね、アタックあるのみだよ{emj_ip_0792}






太宰の言葉に敦は目を見開いた。







敦「アタックあるのみ……そうですよね。


行動しなきゃ、始まらないですよね…



分かりました。僕、頑張ってみようと思います。」


そう言う敦の瞳はキラキラと輝いており
太宰は、そんな敦を見ると楽しそうににっこりと笑った。


太「頑張り給え{emj_ip_0792}少年{emj_ip_0792}」


敦「はい{emj_ip_0792}ところで太宰さん」


太「なんだい?」


突然、敦に名前を呼ばれた太宰は首を傾げた。
敦は、太宰ににっこりと笑いかけると太宰が持っている写真を指差してこう言った。



敦「その、ふみさんの写真いただけないでしょうか?」


笑う敦に太宰は「えっ?」と驚き、固まったのだった。



太「私、もしかしてやばいアドバイスしちゃったかな?」


敦に写真を渡した太宰は、恐る恐る自身の横に立っている国木田へと問いかけるが国木田は、「知らん。お前が言った事だろう。責任を持て」と言うとその場から立ち去ったのだった。



太「え?ちょ、国木田くん見捨てないで{emj_ip_0792}これもしかしたら私、芥川くんにもふみちゃんにも殺されちゃうかも知れないよ{emj_ip_0793}」


国「俺は知らんぞ。」











この太宰の言葉がきっかけとなり敦がふみに猛アタックする日々が始まるのであった。