温かな一日

 今日も目覚まし時計の電子音が鳴る前に目覚めた。

 いつも通りの朝……じゃあ、ないか。
 昨日から両親は海外出張へ行き、代わりに両親の友人の息子さんである、クラスメートの綾崎翼が我が家に来て……同居することになった。

 綾崎くんは人間不信で人間嫌いだから、慣れるのも一苦労するかと思った。
 けど、案外そうでもないみたい。
 根はいい子で、素直なところがある。私が愛読している漫画も好みらしいから、気が合いそうだ。好き嫌いもある程度把握できたから、後は慣れること。

 最初は会話するのも難しいと思っていた。実際、初対面の時は首を振るだけだったから。でも、手作りの紅茶のおかげで声を初めて聴けたし、言葉による意思疎通もできた。
 自作のレディグレイを作った過去の私を褒めたい。

「ふぁ〜……ふぅ。起きようかな」

 大きな欠伸をこぼして、ベッドから降りて制服に着替える。

 私が通っている学校の制服は多種多様。
 校章を左胸に刺繍ししゅうしたライトブラウンのブレザーと赤いネクタイとリボンは共通。

 男子制服は、紺色のベスト、白・青・ライムグリーンのシャツ、青緑色のタータンチェックのズボン。

 女子制服は、紺色・ベージュのカーディガン、白・黒・水色・薄ピンク色のシャツ、黒地に真紅のタータンチェックのスカート。

 私はシンプルに白いシャツとベージュのカーディガの組み合わせで着こなす。
 今は5月の下旬だから、カーディガンはまだ着られる。半袖に時期になっても、私は長袖のままでいると思う。だって素肌を曝すの苦手だから。
 あとは耳の後ろの髪をハーフアップに留めて、完成。

「よしっ、今日も頑張ろう」

 気合を入れて、二階の寝室から出た。


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