△▼ 秘密 ▲▽
「ちょ、痛いて!もっと優しくしてや!!」
「しゃーないやろ、我慢しとき」
体育の授業で突き指をした私を手当しているのは保健委員の白石。
授業中にもかかわらず保健室にいることに疑問を感じるが、そこは頭のいい白石のことだから特別なんだろうな。
(先生もいないしなー...)
いつもだったら先生が優しく手当してくれるのに...
なんて思いながらも、学校中の人気者の白石に手当されていることをなんだか嬉しく思ってしまう。
「もう痛くないか?」
「おん」
私の手をテーピングしてくれている白石をぼーっとながめていると、白石と目があってしまった。
やっぱり白石ほどの美形を前にしたら緊張するわ...
一瞬ドキッとしたし...
「なあ」
「な、なんや?」
いきなり声を掛けられたからか、声が裏返ってしまった。
「ミョウジって好きな人とかおるん?」
「お、おらんけど...」
白石からこんなこと聞かれるとは思ってなくてきょどってしまった。
「ふーん...」
そう言って私のことをジロジロと見てくる。
「なんでそんなこと聞くん?」
私がそういうと白石はニコッと笑ってなんでと思う?、と聞き返してきた。
...質問を質問で返すなよ、と思ったけど口には出さなかった。
「分からんから聞いとるんやろ...」
「そうやな」
ハハッと笑って白石は私の耳元に口を近づけて言った。
「今はまだ秘密や」
少しかすれた、いつもより低めの声で言われてドキリとした。
それから授業の終わるチャイムがなり、白石は保健室を出ていってしまった。
「今は秘密ってなんやねん...」
さっきから顔が熱い。
きっと耳元で言われたからやろな、うん。
2013.2.25
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