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『ねぇ、明日デートしよう。』


唐突に彼女へメールを送る
実は2時間考えた結果がこれ。(笑)



すると


「いいけど、なんで急に?(笑)」



と返事が。





『観たい映画があるの〜
明日1時に迎えに行くから、待ってて』



「うん、わかった。
楽しみにしてるね。」




平然を装ったけど……


……緊張したぁぁあ…………





『……あ、何着ていこう』










~次の日~


ピンポーン___



インターホンを押すと
ガチャっとドアが開いて真尋が出てくる。




……え、



思わずフリーズしてしまった。




「な、なによ」



『えっ、いや……』




やばい、想像以上に可愛い。

いつもはズボンしか履かないのに



……なにそのスカート。無理。死にそう。





『……やばい、…可愛い』


「あ、ありがとう…」





まともに目も見れなくて



『……行くか』




って素っ気ない言葉しかかけてやれなくて



「……うんっ」



と君は返事をしてくれる。



今日1日持つか……?







______

.




「……ぇ

……ぇ




…ねぇ!」





『うわっ!はい!なに!』




「なにぼーっとしてたの?
なんの映画観るの?って聞いてたのに」




『あ、ごめん……

えーっと、俺の彼女は××でってやつ』




「え、それって」



『……あ、知ってんの?

俺めっちゃ観たくってさ』




「私この映画ずっと観たかったの!」



なんて言ってぱあっと俺に笑顔を向ける


……真尋が前に観たいって言ってたの覚えてました。
だから誘いました。はい。




『まじ?よかったー、

よし、チケット買ってくるわ』




「あ、はい、チケット代」




『いーよ、俺が出すから。
あ、そーだ


ポップコーンとかでいいからなんか買ってきてくんない?』



と千円札を出す。


自分で出すから大丈夫だよ!

とか
ちょっと遠慮してくれるのかな〜?
なんて期待を持ちながら。




「あ、わかった」



なんて言ってケロッと千円札を受け取り




「〜〜♪」



スキップで行ってしまった。




『ったく……真尋らしいけどさぁ…
そうじゃなかったら幻滅してたわ……


ちょっとぐらい遠慮しろや……
奢られて当たり前だと思うなよ………いやまぁ出すけどね?出すけどさぁ…』





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ーーーーーーーー




「はい!祐也くんこの味のポップコーンで良かったよね?」



『あぁ、ありがと』



"はい、お釣り"




と小銭を渡されたが、明らかに多い。
でも真尋の手には彼女の分のキャラメルポップコーン



……自分で買ったんだ




そうわかった途端
さっきまでの少し幻滅していた気持ちが消え去り、



彼女への気持ちが大きくなった気がして。



やっぱり俺、こいつを好きになってよかった。
改めて、そう思えた








____




上映中も真尋のことが気になって映画どころじゃなくて。



彼女を盗み見する度に
恥ずかしくなって熱くなる。



それの繰り返しで。








すると、
突然のキスシーン。




チラッと真尋を見ると、少し頬を赤らめて目をキラキラさせていた。




『……っ、』




……可愛い、
とこんなに心の底から思ったのは初めてだった。




クライマックス、

彼女の頬にはいくつもの涙の跡があった。





その上からもどんどん雫は落ちてゆく。
光に反射した雫が美しくて

彼女の横顔はとても





とても綺麗だった。






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ーーーーー



「あ〜〜……感動したっ!」




目元を擦りながら、彼女はそう言う。



ここは

"ほんとなっ!あそこのシーン良かったよな〜"



とか言って共感するところだけど



『実は…内容ほとんど覚えてない……(笑)』



「ええ?!なんで?」



『真尋が隣にいたから緊張しちゃって……(笑)』



「……そう、なんだ(笑)」




口元を押さえながら君が笑う。



すると突然


"も〜!"



と言って大股で早歩き。



『えっ?』




そして
クルッと振り向き



「気分変えてどっか行こ?ね!」





って子供みたいな顔で俺に笑いかけた





____

.






「あ〜〜!また負けた!!なんで祐也くんそんなに強いの?!」



"へっへーん"と真尋にドヤ顔。



俺が勝利したのはマ〇オカート



「ね!もっかい!」



彼女が俺におねだりしてきて、調子に乗ってしまう。



『仕方ねぇな〜……』



「……勝ったからってニヤニヤしてんじゃないわよ…
次は勝つからね!」



『俺に勝てるかな〜??』







ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーー





『……嘘だろ』




「やったぁぁぁぁ!!{emj_ip_0092}」



『…………まじかよ、』






俺も負けず嫌いだけど
彼女も大概なようで。



「もう勝ったからすっきりした!!

次他のやろう!」





子供みたいな彼女だけど




『しゃーねーなっ!』




俺も子供だから仕方ない。






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「ぷっ、クリームついてるよ(笑)」


『え?どこ?』


「ここ ここ」




"ほら"
と俺に見せてぺろっと舐める



『……お前…………』



「…あっ、(笑)
祐也くんも前にこんなことしたよね?


あの時はチョコだったけど」



『あー、お前がシゲにフラれた日な!』



「それ言う?
ひどくない?(笑)」



『あははっ、わりぃわりぃ(笑)』






ーーーーーーーーーー







帰りの電車に乗ろうと
駅前を歩いていると


すごい人だかりで




『真尋、はぐれるなよ……』



……返事がない。



『……?』


振り向くと




『…………あれっ!?真尋?!』


彼女の姿はなくて



『……っ、どこ行った…?!』



あたりを見回していると




「くくっ……(笑)」



真尋の笑い声。




振り向くと真後ろに彼女がいた。



『返事しろよ……お前………』



「祐也くん……(笑)

私の名前呼びながらずっとキョロキョロして…(笑)(笑)」




お腹を抱えてゲラゲラ笑う彼女



『おっま、マジで心配したんだからな…』



「顔真っ赤だよ(笑)

あーおもしろい(笑)」



『うっせぇ!ほら、帰るぞ!』




と彼女の手を引き無理矢理駅へ入る




「もー、そんなに怒らなくても……」



『怒ってねぇわ!心配したんだよ!』



「ご、めんなさい……」



『……ま、無事だからよかったけどさ』



「……ぷっ(笑)」



『まだ笑うか?』



「ごめ(笑)ほんと面白くって(笑)」




電車の中でも真尋はずーっと俺の話で笑ってた


……クソヤロウ























俺達の最寄り駅はさっきとは違って人気がなくて


はぐれることもない。





「人少ないね、もう祐也くんキョロキョロしなくて…『まだ言う?』




「ごめんごめん(笑)」




『……なぁ、まだ時間ある?』




「うん、大丈夫だよ」




『そこ、座ろっか』




「ん、」




二人でベンチに腰掛ける
……少し緊張してきた…






「祐也くん」




『っうぇ?!はい!』




「何その声(笑)」




『あ、いや……』





「今日はありがとね

あの映画ずっと観たかったの」




『……おう』





"知ってた"

なんて出そうになった言葉は飲み込んだ





『なぁ』




「………ん?」










『そろそろ、だめですか?』





「…なんの話?」





これでふられたら

もう、諦めよう。






ずっと前からそう決めていた







俺は立ち上がり

彼女にクルッと背を向け





声の限り叫ぶ






『俺は!




真尋のことが……!』






こんな泣きそうな顔なんて





大好きな人には見せられないから










誤魔化すように大きな声を出そうとしたけど







『…好きだ……』






涙が溢れてきて


そう呟くことしかできなかった














目を閉じて


後ろに座っている彼女の表情を頭の中で

思い浮かべてみたくなった。







ムスっと不細工な顔をしている真尋

いつもとは違った真面目な告白に顔を赤らめている真尋

泣いて…たり…………はありえねぇな。








んー、あとはー…










『……?!』













背中に感じるのは





彼女の体温









後ろから手が回ってきて
抱きついてる状態。




『……えっ?!ちょ!?


真尋!?』




「……っ祐也くん」




『……なに?』


















「……き、」

















……思わず耳を疑った


だって








"すき"









と聞こえた気がしたから。






そんなわけない、と
もう1度、聞いてみる









『……え?なに?』





「だ、から……えっと、その…」



クルッと回転して真尋と向き合うと






『……っ、…』





目の前には

俺の見たことのない





きっと、シゲにしか見せたことのない


頬を真っ赤にしてる彼女の照れた顔







『……なに?教えて?』



























「…………すき」













『………………う、そ……』








やっと、やっと聞けたその言葉。


ずっとずっと俺が君から言われたかった言葉。


ずっと俺が一方的に口にしていた言葉。






信じられなくて、嬉しくて、
涙はどんどん溢れてきて









「……嘘なんて、つくわけないじゃん」





って上目遣いで俺を見つめる。




「……っわ!」




そんな彼女が愛しくてたまらなくて

ぎゅ〜〜っと抱き寄せた





すると



背中に彼女の腕が回ってきて
俺を優しく包んでくれる








『……おれ、両思いになれたの?』





「…本当はねずっと前から好き、だったんだよ?

前に告白してくれた時、




"私も"って言いたかったのに、祐也くん

遮っちゃうんだもん。






……バカ。」





『…ごめん、ごめん……』





「ううん。謝らないで、

今までずっと好きでいてくれて



本当に、ありがとう」






そう言って俺の背中をポンポンしてくれた。





視界は涙でぐちゃぐちゃだし
真尋に慰められるし。





情けない。






それに




『ほんっと……っ、…遅いんだよ!』




なんて強がることしか出来ない。






それでも涙はまだまだ出てくるし







『……真尋、大好き』





俺はそう言って

泣きながらも、めいっぱいの笑顔を彼女に見せた







すると彼女は





"おそくなってごめんね、

大好きだよ"

って






そっと涙を拭って、俺にちゅっと口付けた。





『……夢見てるのかもしんない』




「現実だよ、(笑)」




『…好き』





「私もだよ」





『……大好き』




「私も大好き」




『…っ真尋……』




「ふふ、祐也くん」





ぎゅっと抱き締め、

愛しい彼女に今度は俺からキスをした。







お互いに顔は真っ赤だったけど
泣いてたのは俺だけだった。
























~数年後~




「わぁ、この公園懐かしいね〜……」



『あ、ここさ(笑)

真尋がシゲに好きな人がいるって知った時走って逃げ込んだとこだよな(笑)』



「なっ!?

それならねぇ、私だってあるんだからね」





『なんだよー』




「この公園でね
祐也が私に初めて告白してくれたんだよ?」





『……え?そーだっけ?

よく覚えてんな?』




「覚えてないの?

私にとって初めての告白だったから印象に残ってるの。





幼稚園の時だけどね、とってもとっても嬉しかった。
そこからずっと今まで好きでいてくれたんだよね……






本当、

ありがとう…」




『ねぇ、俺さ

99回目の告白で真尋と付き合うことになったんだよ。




覚えてる?』




「えっ、そーだったっけ?
高校の時だよね、懐かしいな…



でもそれなら100回目にしたかったな〜…」




『いや、99回目で助かったわ』






「えー!なんで?そっちの方がロマンチックじゃない?」





『んー……この方がロマンチックじゃない?』





「ん?」









俺は、彼女と向き合う。







『真尋とは、小さい頃からずっと一緒だったよな。





親同士が仲良くてずっと "幼なじみ" って関係だった。

言ったことなかったけど
初めて真尋を好きって思ったきっかけはね



幼稚園の時なんだけど……







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ーーーーー




"その日は
帰りに雨が降っててね"




「手越くーん」


『真尋ちゃん待って〜!』


「早く、二人で帰らないとママに怒られちゃう」



"2人で傘をさして並んで歩いてたら端っこの方に、
ダンボールがあったの"



『……ん?これなんだろ』


「ダンボール?」




"2人で覗くと
そこには子犬が1匹いてさ"



『わぁ、わんこ』



「ちょっと、よけて」




"真尋は迷うことなく傘をその子に差し出して"




「よいしょ……」



"びしょびしょになりながら抱っこしてあげてた"





寒かったね、一緒に帰ろうね、って笑って声をかけてる横顔を見て



"あぁ、なんて優しいんだろう"




って、

"この子を守りたいな"

幼いながらにそう思ったんだよ。』


















"真尋"









そう声を掛けると



伏し目がちに俺の話を聞いていた君がこっちを向く





『俺が、一生君を守ります。


俺が、絶対君を泣かせません。








俺が





絶対に君を幸せにします。』







息を整え、








『真尋が好きで、大好きでたまらなくって、





心から愛していると思えるんだ。』









"だから"





白くて細い彼女の手を取り




ポケットから箱を取り出す





"俺と
















結婚してくれませんか____?"





















「……っ、はいっ……はい!」





涙をポロポロ流しながらうなずく彼女の指に

輝く指輪をはめてあげた。






「ゆ、うやぁ……っ」




『付き合えた時は俺が号泣してたのに(笑)』



「……〜〜っ祐也っ、



大好きだよっ」




そう言ってぎゅっと抱きついてくる






愛しい、俺の、初恋の人。







「……っ、絶対、幸せにしてねっ?」





『…ふは、当たり前だろ(笑)』






指で彼女の小さな顔についた水滴を拭い


ゆっくりと優しく唇を重ね、





『俺が絶対幸せにする』





彼女に約束した。














そう、


これが俺の、
真尋への、








100回目の告白____





fin.。゚+.







おしまい



ALICE+