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「よーし!手越くんのおごりで甘いもの〜{emj_ip_0177}」



さっきまで泣いてたのが嘘みたいにはしゃいでる彼女。



『元気になってよかった』



「手越くんのおかげだよ。ありがとう」




って今日一番の笑顔。

そんな笑顔が好きだな、と思いながらも



『食いしん坊、ばーか』



って強がることしかできなかった



「はぁ?なんて?!」


『ふは、怒った(笑)』



"食いしん坊"

という単語に怒る君もやっぱり好きだな、なんて思う始末。



「あ、今私のこと好きだな、って思ったでしょ?」


『あはは!バレちった?(笑)』


「手越くんのことは私なんでもわかるもん」




なんて得意気に言うから


『俺も真尋のことはなんでもわかるけど?』


対抗してみた



「今の私の気持ちは?」


『ドーナツ食べたい』


「大正解!!買ってきて{emj_ip_0177}」



結局パシられた。(笑)







________






「んー{emj_ip_0177}おいし{emj_ip_0177}」


ってドーナツを頬張る彼女の目元はまだ
うっすらと赤い


けど正直言うと
いつもと同じ笑顔に戻って本当に嬉しい。



『ぷっ、チョコついてるよ』


「えっ、どこ?」


『ここだよ……ほら』


彼女の口元についてたチョコを指で拭い


それをぺろっと舐めると

「えっ、ちょ……」



ぶわわって顔を赤くする彼女



『え?』



……口についてた…チョコ…







『うわぁぁあ!!!ご、ごめん!!!』



数秒遅れで恥ずかしさが募ってくる




「……いや、うん…ありがとう…」



『い、いや……』



なんだかきまずくて

これ以降の会話は全く覚えていない



全くおぼえていないのは

会話がなかったからなのか

緊張と恥ずかしさからなのかは



ちっとも思い出せなくてわからない。











~次の日~




『なぁ、シゲ?昨日あいつになんて言われたの?』


「……えーっと、お前は……その、知ってたん、だよな?」


『…あー……うん、シゲのことが好きって知ってたよ』



「…そうだったのか……



"ずっと前から加藤くんのことが好きでした"


って」


『んで?』




「好きな人がいるから、ごめんって謝ったよ」




『そ、か。




……ほんと真尋の好きな人がシゲで良かったって思うわ。さんきゅ』




「はぁ?何気持ちわりぃこと言ってんだよ(笑)

一応好きな人の好きな人だろ?」


『うるせぇ!そんなの気にしてねぇし!』


「……そーかそーか、」


『ま、これであいつは俺のこと好きになってくれるだろうし{emj_ip_0177}』



「あ、どうせ昨日帰るとか言って帰ってなかったんだろ?
真尋ちゃんとなんもなかったのか?」


『昨日……』




昨日のことを思い出して顔がボッと赤くなったのが自分でもわかった




「えっ、お前何したの?」


『い、いや、別にちゅーとかはしてねぇよ?!』


「な!?手越…お前そんなやつだったのかよ……」


『いや、聞けって!
口についたチョコ指で拭って舐めただけだから!』


「おっと、結構予想外なことを」


『なんだよ、何想像してたの?やらしー{emj_ip_0177}』



「お前のことだから手繋いだだけでキャーキャー言ってそうだからさ(笑)」


『はぁ?!手ぐらい繋いだこと……』



「え、あるの?」







『なかった。』




ぷっ、とシゲは盛大に吹いて



「なんだよそれ(笑)」



って笑うから


『笑ってんじゃねえよ!(笑)』



シゲの背中をバチンと叩いて



「はぁ?!いってぇ…」



って叫ぶ姿を見て満足した。








______
____




廊下を歩きながら考え事

はぁ……


手、繋いだことねーんだなー…
あ、でも俺の胸であいつ泣いてたし。うん。




……抱きしめたし。



『うわー、思い出しただけで恥ずかしい!』



「うるさ、」




振り向くと
冷たい目をした真尋



『…わ、びっくりした……』


「なに叫んでたのよ?」


『いや、別に……』



ふーん?って俺を見つめるその目は



『……あ…目、腫れてる…』



目元に手を伸ばすと



「さ、触らないで!」



バシッ、と手を払われて



『…ごっ、ごめん』



「あ、いや、その…
ごめん


あの、……昨日、ありがとうね」



『え?あぁ』



「帰り気まずかったから、今日喋れなかったらどうしようかと思ってた



…けど手越くんなら」



「おーーい、手越〜」






……シゲ、今結構いい感じだったぜ?





……あ、真尋、ちゃん」





三人の間に沈黙が訪れる







________



その沈黙を破ったのは




「あの、加藤くん…
昨日、急にごめんね?」


真尋で。



「え?あ、いや…こっちこそ、」



「ううん、私は大丈夫」



明らかに腫れている真尋の目を見てシゲはうつむいて


「……そ、か」



と小さく呟いた




あ〜〜!!

なんだよこの会話?!


無理、耐えられない






『なぁ、真尋?』



「ん?なに?」








『すき{emj_ip_0177}』





「……は?」





「ぷっ…」





『おいシゲ、何笑ってんだよ

俺の93回目の告白を』




「お前そんなに告白してんの?!

すげぇな〜…」




「ほんと、そろそろ私よりいい人見つけろっつーの」




『……だっていないんだもん』




「はぁ?何言って…」



「はい!そーゆー話は俺のいない所でして!」





って背中をグイグイ押すシゲ。




『はぁ?ちょっ、どこ行くんだよ!』



「どこって…教室戻るんだよ」



『……あ!次化学だっけ?!
俺教科書忘れたんだった。』



「はぁ?なにしてんだよ……」




シゲと目が合う。

二人揃って視線を向けたのは



『「…… 」』


「な、なに」


『えへ、教科書かーして{emj_ip_0177}』


「もう……ちょっと待ってて!」




"はい、私5時間目化学だからそれまでに返してね"


そう言われて、教科書を受け取る。




『さんきゅ、昼休みに届けに来るわ!』



そう言い残してシゲと2人で教室まで小走り。




「なぁ、後で話したいことあるんだけど」


『んぁ?んー、わかった』




シゲが改まって俺に話なんて




……なんだろ?





______



____キーンコーンカーンコーン




〈手越!加藤!ギリギリだぞ!

早く席つけ!〉



『はぁ〜い…』



"起立、礼、着席"



一連の流れを終え
席へ座る



"はい、じゃあ教科書125ページ開いて〜"




えーっと、125……


119ページからパラパラと教科書をめくる




121…
123……




って、え?!

俺こんなに教科書に書き込んでな……




…あぁ、真尋のか。





どのページを見ても、

ちゃんと下線やメモなどがきちんと書かれていて、



『(へぇ……あいつってちゃんと勉強してるんだ…)』




えーっと、125〜は






『あれ、まだ何も無い


……ん?ってことは5時間目にするってこと?』





……

ふっふっふ、いいこと思いついちゃった〜{emj_ip_0177}






______
____




キーンコーンカーンコーン___




「あ、手越。

さっきの話なんだけど…」




『あぁ〜、何?どーしたの?』



「えっと、その……」



なんてモゴモゴしてるシゲ。
なんだろ、珍しいな。



「手越も真尋ちゃんも頑張ったから……

その、なんてゆーか…]




俺もあいつも頑張ったから…………?



『え?!告白すんの?!』


「ちょっ!お前声でかい!」



そう言いながらも顔は真っ赤で



へぇー!シゲが告白かぁ〜!!
そっかそっか、上手くいくといいな

なんて友達の俺がにやけてしまう



「だからさ、真尋ちゃんに教科書返しに行く時


"俺も頑張ってみるよ"
って言おうと思って。」



『あ〜…なるほどね、わかった。
じゃあ俺邪魔だし返したら教室帰るわ』



「…うん、さんきゅ」



『…で?なんて言って告白するの?』



「は、はぁ?なんでもいいだろ!」




『は〜、照れてるー!!』



「うっせぇ!」






バシン!とデコピンをされて




『いってぇ〜!!』





「さっき俺の背中殴ったからな、仕返し」




いひひって笑う
シゲのいたずらっぽい子供のような笑顔を


久々に見た気がした。







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