プロローグ
……正直言って俺は、
この世でたった一人の双子の片割れである兄ちゃんを亡くしてから、
毎日寂しくて、悲しくて、いつも泣いていた。
泣いても戻ってこないなんて、そんな簡単なこと、分かり切っていたのに。
……だから、それしか出来ない自分が嫌いだった。
泣いている自分を必死に隠すしかできない自分も、大嫌いで仕方なかった。
でも、どうしても自分を変えられなくて……余計に自分を嫌いになっていた。
「嗚呼、このままじゃ駄目だ、変わらなきゃ」
……そんな思いをずるずると長く引っ張る自分が居たのも、また事実だったのだが。
そんな中で俺が出会ったのは……“イナズマイレブン”だった。
とある日、何気なしにそのアニメを見ていた時に……
俺は初めて『あるキャラ』に恋をしたのだ。
……そしてその瞬間、俺の世界は変わった。
まぁ、現実は何一つ変わってなんかいなかったのだが。
……だけど、今日だけは。
今日だけは、いつもと違っていた。
いや、「今日“だけ”」じゃない……「今日“から”は」だ。
俺は……一体、これからどうなるんだろう?