梅雨の間のひととき

「梅雨ちゃんの膝枕を占領できる俺は、特別な存在なんだなって·····」

「ケロ·····?陽二ちゃん、何馬鹿な事言ってるの」


ずっと、しとしと、ざあざあと降り続く雨·····さすがは梅雨だ。あっ季節の方の梅雨な。

·····こんな天気ばかりで普通の人間なら湿気でげんなりしたりするだろうが、俺は違う。

なんてったって俺は今、自分の部屋で恋人である梅雨ちゃんの膝枕に収まって人生勝ち組まっしぐらなんだからな!!

·····それにしても梅雨ちゃんの太ももはすべすべしてて気持ちいいし、彼女の体温が心地良い。

あぁ、余りの心地良さに猫みたいにごろごろと喉まで鳴っちまう·····ふへへ。


「ケロ·····陽二ちゃん、猫ちゃんみたいだわ」

「そうだぜ?·····俺は梅雨ちゃんにしか懐かねぇキメラだからな」

「もう、調子が良いんだから」

「本当だって!」


くすくす笑う梅雨ちゃんの顔を見上げると、彼女は微笑みながら俺の前髪を指先で優しく撫でてくれる。
その感触がまた堪らなく気持ち良くて思わず目を細めると、彼女は慈愛に満ちた笑みを浮かべた。


「陽二ちゃん、今日はすごく甘えん坊さんなのね?」

「んー·····なんかこうやってると、落ち着くんだよ」

「そうなの?」

「うん·····梅雨ちゃんって温かくて柔らかいじゃん?それが丁度よくてさ」

「そんな事言われたら恥ずかしいわ·····でも、私も陽二ちゃんとこうしてると·····とっても幸せよ」

「そっか·····じゃあもっと幸せになろうぜ」


そう言うと、俺は体を起こして両手を広げる。すると梅雨ちゃんは嬉しそうにはにかんでから俺の腕の中に飛び込んできた。


「ケロ·····」

「ふふっ·····」


お互いの体温を感じ合いながら抱き合うと、心臓の音や息遣いまでも聞こえてくるようでとても安心する。
梅雨ちゃんも同じなのか、少しだけ身体を離すと潤んだ瞳で見つめてきた。


「えっと·····キスしても、良いかしら?」

「聞く必要あるのか、それ?」

「一応聞いてみただけよ」

「何だよそれ·····でも、別に聞かなくても梅雨ちゃんからなら大歓迎だけど?むしろ俺からもしたいくらいだし」

「あら、それは嬉しいわね·····じゃあ遠慮無くさせてもらうわ」


そう言うと、ゆっくりと顔を寄せてくる梅雨ちゃん。

·····そして俺達は、静かに唇を重ねた。

ただ触れ合わせるだけの口付けだったが、それでも充分過ぎる程に心を満たす事が出来た。
ちゅっ、と音を立てて離れる唇を寂しく思いながら至近距離にある梅雨ちゃんの綺麗な顔を見ていると、不意に彼女がクスッと笑い声を上げた。


「どうした?」

「ごめんなさい。ただ·····本当に猫ちゃんみたいだと思って」

「あー·····確かに今の俺は完全に猫みてぇだもんな。じゃあもっと猫っぽくするか」


そう言うと、陽二はパチンと指を鳴らすと個性を発動させて猫の耳としっぽを生やした。

それを見た梅雨は一瞬驚いたような表情を見せたがすぐに笑顔になり、「可愛いわ」と言って再び唇を重ねてきた。


「·····俺は、梅雨ちゃんが望むならなんにでもなってあげられるぜ。猫でも、犬でも、それこそカエルにも」

「ケロ·····それはちょっと嫌かも。私は陽二ちゃんが好きなのであって、動物が好きだとは言ってないわ」

「·····そーなの?」


そう言うと、陽二は少し頬を赤くした。
梅雨は彼の頭をよしよしと撫でながら「当たり前じゃない」と呟く。


「私が好きになったのは、優しいけれどちょっとお調子者なところもあるけど、いざという時は頼りになる男の子だもの·····だから私が好きなのは、私の彼氏の陽二ちゃんだけだわ」

「梅雨ちゃん·····!」


梅雨の言葉を聞いた瞬間、陽二は胸の奥がキュンとなった。

そのまま梅雨を強く抱きしめると、彼女も背中に手を回して強く抱き返してくる。
「もう、苦しいわよ」と言いながらも満更でもない様子だった。


「あー·····梅雨ちゃん好き。大好き。超愛してる」

「私もよ、陽二ちゃん。あなたを愛してるわ」


お互いに想いを伝え合いながら、二人はラグに寝転がり、抱き合ってそのまま何度も口づけを交わす。
それからしばらく経ち、雨が止んで雲の間から太陽の光が差し込み始めた頃、2人からは小さい寝息が聞こえ始めていた。



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いちゃらぶなつゆじは健康にいいんです!!!!!
猫の日なので猫要素も一応入れました∩(^ΦωΦ^)∩

20220222


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