それは、絵画のような
狐の耳としっぽをゆらゆら揺らしながら、昼寝をするロロとララの背中をとんとんと優しく叩いているフォクシーを見て、
ロディは幼い頃に父親に見せてもらった、母親に抱かれた赤ん坊が幸せそうに微笑んでいる絵画を思い出していた。
「(·····そういや、あれは赤ん坊の俺と母さんの肖像画だったっけな·····?)」
「·····ロディ?どうしたの?」
そんなことを考えていると、ロディの視線に気づいたフォクシーが振り返って首を傾げる。
「·····いや、なんでもねぇよ」
「あらそう?」
その答えを聞いて、フォクシーは再びララの背中をトントンと叩き始める。
綺麗な声で小さく歌われる聞いた事の無い子守唄は、きっと日本語なのだろう、とロディは思った。
気持ちよさそうに眠るララ達と、それを見て優しげに微笑むフォクシーにロディも自然と笑みを浮かべる。
「(·····あぁ、本当に俺とこいつは夫婦に·····家族になれたんだな)」
そんなことを考えながらロディが笑うと、フォクシーの近くで座っていた狐のハニーが立ち上がり、ロディの足にすりっと擦り寄ったあと、「Yelp」と一言鳴いた。
·····すると、ロディの肩でウトウトしていたピノが目を覚まし、「PiPi〜♪」と嬉しそうに鳴いてハニーの元へ飛んでいく。そして2匹はお互いにキスをするように鼻先と嘴をすり合わせ、寄り添って床に寝転がった。
「·····ふふっ、私たちみたいで可愛いわね」
その様子を見ていたフォクシーは、優しい眼差しのまま微笑んで言った。
「ああ、そうだな」
その光景を見たロディは素直に同意した。
「ねぇ、ロディ·····私達も、いつか子供が出来るかしら?」
「·····欲しいのか?」
「もちろん、あなたの子供は欲しいけど·····とりあえず、ロロとララがもう少し大きくならないと無理そうね」
フォクシーの言葉を聞いたロディは苦笑いを浮かべる。
「まぁ、でも·····私たちまだ若いんだし·····焦らなくてもいずれ、ね?」
「·····そうだな」
2人はお互いの顔を見合わせてクスッと笑った後、再び眠っているロロとララの方へ顔を向けた。
「(·····母さんが死んで、親父が失踪した時、俺にはロロとララがいてくれたけど·····フォクシーはひとりぼっち、だったんだよな·····)」
あの時はロロとララがいたから、苦労こそすれ、孤独感を感じることは無かった。
·····だが、同じ境遇であるフォクシーには誰もおらず、ロディたちに出会うまでただ一人で生きてきた。
彼女が家族や家族の在り方にこだわるのは、その生い立ちのせいもあるのだろう。
「(·····こいつは絶対、俺が守る)」
心の中でそう誓ったロディは、隣にいるフォクシーの手を握った。
「·····ん?どうかしたの?」
不思議そうな表情をしてこちらを見るフォクシーに、ロディは小さく笑って答える。
「·····いや、ただお前と一緒にいれて良かったなって思ってよ」
「えぇー?急にどうしたのよ?」
そう言いながらも満更でもない様子で、フォクシーは頬を赤く染めていた。
「別にいいだろ?こういうこと言うのもたまにはさ」
照れ臭くなったロディが言うと、フォクシーも恥ずかしげに笑う。
「·····うん、ありがとうロディ。私もあなたと一緒に居られて嬉しいわ」
そして2人は、どちらともなく顔を近づけると唇を重ねた。
それを見ていたピノとハニーも、鼻先と嘴を何度もすり合わせてキスをするような仕草を見せる。
·····そしてその後、ロロとララが起きた事で2人の甘い時間は終わりを迎えたのであった。
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ロディフォクはいいぞ定期!!!
20220308
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