いつまでたっても新婚ヒーロー
·····陽太とお茶子は雄英で恋仲になり、プロヒーロー「ウラビティ」と「キメラッポイツインズ・ゼロワン」として活動してしばらくした後結婚した。
結婚したきっかけとしては、プロヒーローにはよくあるテレビ取材の時、お茶子に「結婚するご予定は?」なんてこれまたよくある質問の時に陽太が勢いよく割り混んで「·····そういう質問止めて貰えますか!!俺だけのウラビティなんで!!」と叫んだのがきっかけだった。
·····ちなみに、それは未だに語り継がれている。
何年経とうが新婚のごとくラブラブな2人はファンや仲間のヒーローからも暖かく見守られているが、中にはそれを面白く感じない人もいるもので·····
「え〜!ゼロワンさん、独身かと思ってました〜!」
「今度、飲みに行きましょうよ〜」
陽太が他のプロヒーローの女性に囲まれるその光景を見ていたお茶子は嫉妬に狂いそうになっていたが、冷静に考えればいつものことだと思い直した。
·····良くも悪くも、陽太はモテるのだ。
もちろん、陽太が1番愛しているのはお茶子に変わりないし、陽太もお茶子以外愛する気は無いのだが、他の女性はあわよくばお近づきになりたいと思っている人が多く、また本人も無自覚だが女性に優しく接するため勘違いされてしまうことが多い。
「今度、うちの事務所に遊びに来て下さいよ〜!」
そう言って女性が陽太に腕組みした瞬間、陽太は心底嫌そうな顔をしながらも優しく引き剥がす。
「·····すまねぇけど、俺はウラビティっていう可愛い嫁さんがいますんで、こういうのは止めてくれ」
それを聞いたお茶子はにっこりと満足そうに笑うと、陽太の方へ向かって駆け出した。
「ゼロワン!」
「·····ウラビティ!?」
陽太は突然やってきたお茶子に驚きながらも、お茶子を抱きとめる。
そして周りにいる女性達はそんな2人を歯噛みして睨んでいた。
「·····ふん、何よ!女の趣味悪いわね!」
「そんなブスのどこがいいのよ!」
「あー·····別にいいだろ?俺にはウラビティが一番なんだからさ」
「もうっ!人前でやめてやぁ·····」
周りの女性達が毒づく中、陽太は照れくさそうに答える。お茶子は嬉し恥ずかしくてつい頬を染めてしまう。
「·····ところで·····俺の聞き間違いじゃなければ、こん中に俺の可愛いウラビティのことブスって言ったやつが居るな?」
そう言うと、陽太は額に青筋を立てながら女性たちを睨みつけ、そのまま大きな狼のキメラの姿に変わる。
狼の姿になって一声吠えた陽太を見て、女性たちは蜘蛛の子を散らすが如く逃げていった。
その様子を見たお茶子は苦笑いしながら、狼姿の陽太を撫でると、陽太は元の人間の姿に戻る。
「ふぅ·····相変わらず人気者やね」
「·····お茶子以外に好かれたって、ちっとも嬉しくねぇよ」
「ウチも陽太が他の女の人と喋ってるの見ると嫌やなぁ」
「·····ん、でも俺は躾の行き届いたキメラだからな、一番大好きなご主人様は誰か分かってるつもりだぜ?」
そう言うと、陽太はお茶子の頬をぺろんと舐める。お茶子がびっくりすると、陽太はそのままお茶子を抱きしめて唇を奪う。
「·····ちょ、ちょっと!?こんな所でキスせんでも·····!!」
「いいだろ、別に。邪魔者は俺が追い払ったし、ここなら誰も見てないしさ」
「う·····そ、そうかも知れへんけど·····」
お茶子の言葉に陽太はニヤリとすると、今度は深く口付けをする。
舌が絡み合う濃厚なキスにお茶子はクラクラしてしまうが、なんとか陽太の背中に手を伸ばして抱きつく。
「·····ぷはっ!·····あ、あかん、腰抜けてもうた·····」
「おっと、大丈夫か?俺が背負ってやるから許してくれよな」
そう言うと、陽太はまた狼のキメラの姿に変わり、お茶子をひょいと背に乗せて走り出す。
「うわあっ!·····は、速い速いっ!!落ちるやん!!」
「ははは、死んでも落とさねぇから安心しろよ!!」
陽太がお茶子を背負いながら走る姿はまるで絵本に出てくるような光景で、その場に居合わせていた人々は感嘆の声をあげるのだった。
·····その後、ヒーロー事務所の休憩室でお茶子を下ろしたあと、陽太は再び人間に戻るとぎゅっとお茶子を抱きしめる。
「ん〜·····ウラビティは俺とみんなのヒーローだけど、お茶子は俺だけのお茶子だよな」
「うん·····陽太も、うちだけの陽太やもんね」
2人は微笑み合い、もう一度軽いキスを交わす。
「「·····愛してる」」
そして2人はまた熱い抱擁を交わし、お互いの存在を確かめ合うのであった。
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この二人はプロヒになってもイチャイチャしていてほし〜〜〜!!!!
20220623
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