雪に閉ざされて
「止みませんね」
シュナイゼルが窓の外を眺めていると後ろから声が聞こえてきて振り返った。
腹心のカノンではなく、白いローブを身にまとった赤い髪の女――アスナはお体が冷えますよ、とシュナイゼルに一言言うと慣れた手つきで紅茶を淹れて差し出した。
「眠る前ですので、ハーブティーを。本日はマロウティーをお淹れいたしました」
「ありがとう」
シュナイゼルがテーブルにつくと、アスナも同じようにテーブルについた。
窓の外は白い雪が降っていた。深夜の雪は音も全て奪っていくようで、明日の朝の離宮には雪が積もっているのだろうな、とシュナイゼルは思いながらマロウティーの美しい青色の紅茶を口に運んだ。
「年が明ければお忙しいのですから、早めに休まれては?」
「……年越しくらいしかキミとゆっくりできないのだがね」
「そうでしたね」
アスナは困ったように微笑んで、何か軽くつまめるものをご用意します、と立ち上がった。
シャンパンでも飲まれますか、と振り返りざまに確認するとシュナイゼルは首を横に振った。お酒は先程まで行われていたパーティーで十分楽しんできたし、これ以上は必要ない。
泥酔するようなことはないが醜態を晒す必要はない。
「アスナ」
「はい」
「愛しているよ」
「……光栄です、殿下」
恭しく頭を下げた幼馴染の顎に手を添えるとキスをした。