短篇短篇08


相澤視点


ヴィランを痛めつけようと思ったが
その前に警察とオールマイトさんが駆けつけてくれた
直ぐに事情を説明してから
姫抱きで守っていた都佑の顔を見た

相澤「よし、もう大丈夫、だ、ぞ・・・」

お茶子「相澤先生、どうしたんで・・都佑、ちゃん?」

都佑の顔がもう真っ青というどころではなく
血の色が殆ど失われていた
それに俺はぞっとした

すぐに地面におろして都佑、と名前を呼ぶ
蛙吹も都佑を超えてだが俺の真正面で
都佑の様子を伺う


相澤「都佑、なぁ、おい、返事しろ、おい、
返事しなかったら除籍処分するぞ・・・」

『・・・・・・・・・・・』

蛙吹「相澤先生、都佑ちゃん」

相澤「おい、ふざけんなよ、何が好きだよ。
好きなら、そばに居たいとか普通思うだろ
つかなんで親である俺より先に行くんだよ・・・」

都佑

そう名を呼んでも何も返答が返ってこない事に
相澤は目から何かが落ちるのを都佑の顔におちた時点で知った


梅雨「ケロっ・・・・」

相澤「っ、おい、都佑、お前俺を泣かせるとか
いい度胸してんじゃねーかよ・・・っ都佑!」




回想

相澤「都佑!お前またやったな!
あれ程やるなって言ったじゃねーかよ!」

『いーやーだー』

相澤「いやって・・・お前なぁ!!」

『えへへへへ!!!』

相澤「笑っても誤魔化さんからな?」

『あだだだだだだだ!痛い痛い!
相澤さん痛いかな!?いいいいい』

相澤「愛のむちだ。受けろ」

『いてえええええええええええ』



『相澤さん』

相澤「なんだ?」

『相澤さんの事消太って呼んでいい?』

それを聴いたと同時にコーヒーを吹きだした
それに汚いーと笑いながらふきんを取ってくる

相澤「駄目に決まってるだろ・・・」




『だよねーうんうん。相澤さんやっぱりお父さんだ』

相澤「いや、現に父親」

そう言いながらはっと気が付いたかと
都佑の目が光る

『えへへ、昔お父さんにもそうやってきいたんだー
そしたらねー?お父さんも即答でダメって言ったの
でも私無理矢理問答無用で和也君って呼んじゃった!』

相澤「いや、お前の父親ももうちょっと
『消太君』おい『消太くん?』おい、
声変えてもいかんぞ『しょーたくん』
まて、やめろ、除籍処分にされたいのか?」

そこで都佑はぴたりと固まった
口も閉じて何も言わなくなったと
思った後に消太君と嬉しそうに笑って言ったので

嬉しそうに言うな、そう思いながら
それ以上相澤は何も言わずに勝手にしろと言った
それに都佑は嬉しそうに笑った



回想終了




その笑顔が、

そのはしゃぎ声が

その煩い動きが

もう聞こえないし見えないのか?


そう俺は思っただけでも目の前が真っ暗になる



「あーあ、可哀想な少女
君はこの結末を誰よりも
愛して望んでしまっただけに
大切な事を忘れてしまった。」


その声がうるさくて俺はヴィランに斬りかかる
それにオールマイトさんと蛙吹が止めに入る

オール「相澤君!抑えて抑えて!!」

相澤「あんたは黙ってて下さい!!
都佑が最近元気が無かったのは
お前のせいだろ・・・都佑に
変な事吹き込んで、貴様!!」

蛙吹「まって相澤先生!!都佑ちゃん
そんな事しても救われないわ・・・それに」

都佑の身体を抱きかかえるように
相澤が立った場所に座り都佑を見る
オールマイトは蛙吹が見た都佑の顔を見て
嗚呼、と胸が苦しくなった


都佑の姿は綺麗になって静かに
嬉しそうに微笑んでいたのだ
まるで、もう未練がないかのような
そんな


蛙吹「都佑ちゃん、何が何でも相澤先生を
助けたいって思っていたんだと思うわ。
昨日だったかしら、都佑ちゃん好きな人の
話をして私があんなこと言っちゃったから」

相澤「あんなこと?あんなことって・・」

「イレイザー君を好きな子は都佑だけでは
無かったということだよ。君を好きなのは
梅雨ちゃんもだよ、梅雨ちゃんがイレイザー
の事を好いていると知った都佑はすぐに
その事を胸に抱いて殺したんだ。
自分がイレイザーと一緒に居たら確実に
イレイザーが死んでしまう。それなら
いっそのこと梅雨ちゃんに頼んで」

相澤「黙れ!!貴様ーーー」

ケケケと笑う少年の姿は醜いものだった
それにオールマイトは相澤の名前を呼び
止めて都佑の元に居ろと言った


オール「奴なんかに時間を
割いてしまうのは不合理じゃないのかな?
合理的な君なら岡本少女の隣に
居てあげる事が一番だと思うんだけど。」

相澤「そう、ですね・・・都佑」

そう言いながら座って蛙吹から都佑を
そっと受け渡してもらった
もう冷え切っている身にぞっとした
帰ってこないのだと知りたくなかったが
現実そうなのだ。


あの笑顔は二度と見れない



そう思っただけで涙が溢れて止まらなかった





外はやけに晴れていた、夏の終わりだった

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