3cmカット 

机の上で腕枕をしながら窓の外の綺麗なBluest skyを眺めとったら、隣からおはよって声が聞こえた。

苗字か。
今日も今日とてお早い出席じゃのう。

髪の毛のしっぽを掴んでふりふり揺らして応えると、苗字はくすくす笑った。
椅子の引く音が聞こえて、今度は頭上から苗字の声がした。


「仁王くん、今日は早いんだね」

「朝練が早めに終わったんでの。昼寝じゃ」

「うん、まだお昼って時間じゃないかな…」


苗字は呆れたような声で言った後に、間を置いて、こう聞いてきた。


「…それって、仁王くんだけが早めに終わったの?」

「みんな同じタイミングで終わっとるぜよ」

「そ、そうなの…」


そんな遠回しな聞き方せんくても、丸井の事くらい教えてやるんじゃが。
苗字ときたら、丸井の事好いとるの丸出しやからの〜。

丸井も苗字の事は嫌いではない…とは思うが。
あいつはなよなよした奴ほどほっとけない。
世話してやりたいっちゅう衝動に駆られる奴やからのう。

多分、今の立ち位置としては「妹」じゃな。

女として意識してもらえるよう、それなりのテクニックを身につけんと無理じゃ。
丸井を落とすのは。

腕枕をやめて顔を上げると、横を向いて座っとった彼女の姿が目に入った。


「誰じゃ、お前さん」

「えっ?急に誰かわからなくなるのやめてよ…仁王くん」


声を聞いて、目の前のべっぴんさんが苗字だという事が判明した。

なるほどな、前髪切ったんか。
声を聞くまで苗字とは全くわからんかったぜよ。


「前髪切ったんじゃな」

「うん、ずっと延ばしっぱなしだったから…」


前髪の事を指摘すると、苗字は少し恥ずかしそうに前髪をすかしていた。

これは、アリじゃな。
ブンちゃんの反応がまっこと楽しみぜよ。

-2-

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わらびもち

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