確実に好意的で草
「テニス部員の大半が桃って呼んでるの死ぬほどかわいくない?」
教室で昼メシ食ってたら、空いた前の席に腰を下ろした苗字が神妙な面持ちで尋ねてきた。
急に来たかと思いきや開口一番なんだそりゃ。
口に含んでた焼きそばパンをよく味わってからお茶で流し込んだ後、苗字に質問し返した。
「どの辺が可愛いって?」
「全てにおいて可愛い。」
「ハッキリしねぇなお前…てかそれを俺に言う意味。」
「知らなさそうだから言っといてあげようと思ってさ!モモという可愛い単語をみんなに言わせてしまう桃城家はヤベェってね!」
てかコイツ違うクラスなんだけどよ。
わざわざこれ言うためだけに来たのかと思うと怖くなってくるぜ…しかもこんな昼飯どきに。俺の時間だぞ俺の。
お前の方がヤベェだろと思いつつハイハイ聞き流しながら食べることに集中してると、急に苗字が声をひそめた。
「閃いた…私も桃城になればみんなのモモが聞けるじゃないか…!」
「あ〜桃城は俺だから無理だろ。残念だったなー」
「いやいや結婚すれば苗字変わるじゃん!」
いや。いや結婚すりゃ変わるだろうが、話の流れ急変しすぎだろ。何気プロポーズされてねぇか?
てか苗字が桃城になりたいからって理由で結婚はしょうもないにも程があるだろチクショー
「そんなうんこみたいな理由で結婚とか絶対しねぇからな俺。」
「うんこ…?ほほう、つまり真実の愛を求めるプリンセスボーイというわけか。」
「あっ?テメーふざけんなよ!?人の気持ちなんだと思ってやがんだ!」
「ごめんごめん!じゃあ他の桃城って名前の人頑張って探すしかないよね!」
「あのな…他の桃城さん見つけたとしても結婚はできねーぞ?保証してやってもいい。」
「もし結婚できなかったら最終そっちに嫁がせてもらっていいですか?」
結局俺狙いなんかい!いくら身近な存在だからってお前の人生を俺になすりつけようとすんな。
冗談だとしても真面目に受け取っちまうんだから、俺って男はよ。
「OKするわけねぇな、するわけねぇよ。」
「"なんて馬鹿げたやりとりしていた苗字名前が、今の嫁である。"」
「俺の将来を勝手にナレーションするのやめろ。」
確実に好意的で草
end.
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わらびもち