気づけば目で追っかけて 

パリッ ポリッ

「やあ、名前。何を食べているんだい?」

「あ、幸村君。きゅうり食べてるよ」

「わあ、きみってカッパだったんだ。どうりで」

「いや、どうりでって。前からカッパっぽかったの私?」

「うん。よくカッパみたいな顔で授業聞いてるから」

「授業中もう見んなよ私の顔…」

「ところで、何できゅうりなの?」

「よくぞ聞いてくれたね幸村君!実は今日お弁当箱開けたら真っ二つのきゅうり入っててさ!それがもう適当に手で折っていれただけのなんの味付けもされていないきゅうりなの!お母さんも毎日お弁当つくって大変なのはわかるけど何もこんな急激に手を抜くこと」

「きみ今朝の体育で鼻血出してたね」

「聞けよ」

「顔面でボールキャッチしたの?きみも物好きだなぁ」

「あれはただの事故だよ…よそ見してたから」

「名前っぽいね。どこを見てたんだい?」

「えっ……と、別にどこも見てない」

「一瞬何か考えたね、今。何?」

「ゆ、幸村君には言いたくない…いやっ!言いたくないと言うよりは言えないって言うか、まぁ別に言ってもいいことだろうけどやっぱり」

「美術の授業での名前の絵、あれ何なの?カッパ?」

「だから聞けよ」

「自画像でも描いてたの?」

「まだ私をカッパ扱いしてるのか…あれはキャベツとイモムシだよ。題名はズバリ!『キャベツとイモムシ』!」

「お昼ご飯、きゅうりで足りるの?」

「幸村君って基本私の話スルーだよね…きゅうりで十分だよ」

「そう?いくら大好物でも、きゅうりだけっていうのはちょっとね」

「私きゅうりが大好物なんて一言も言ってないよ幸村君。たまたま今日のお弁当だっただけだし、とは言え別に嫌いではないけど、でも味噌とかつけたいところかな…あっ、味噌よりコチュジャンかな?ごまドレとかもいいし、マヨも!でもやっぱりきゅうりは浅漬けにするのが一番」

「教室戻るから、またね」

「って帰るんかーい!…もう、何しにきたんだろ幸村君」

パリッ ポリッ

(あの時やっぱり、目が合ってたのは気のせいじゃなかったんだな〜。)



翌日

「名前、きゅうりが大好物だと聞いたのだが」

「会って早々きゅうりの事聞いてきたの柳君で6人目だよ!言うほど好物じゃないから!!」

「苗字、お前はきゅうりばかり食べてるらしいな。きゅうりの他にももっと米を食わんか米を」

「きゅうりばっか食べてないし幸村君言いふらしすぎかよ!!」

気づけば目で追っかけて
end.

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わらびもち

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