病名:思春期 

英語の小テストを解き終え、シャーペンを置いた。
小テストを回収するまではまだまだ時間が余っている。

なんとなく視線を左斜めにずらすと、頭を抱えながら小テストに取り組む後ろ姿が目に入った。

後ろ姿からでもわかるくらい絶望の色に染まっている彼は、切原赤也。
英語が大の苦手で、小テストではいつも0点をとっているらしい。

こんな言い方をしたのは、直接彼と話をして聞いた訳ではないからだ。
彼が友達と話している時、偶然聞いてしまっただけ。

まず盗み聞きしなくても、英語の授業では木下先生に怒られてばかりいる。
だから彼の英語嫌いはクラスメイト全員が知ってるわけだが。

いや……本当は偶然なんかじゃなく、私は彼の話を聞きたくてわざと盗み聞きをしている。
頭ではしたくないって思ってるのに、勝手に彼の話に耳を澄ましてしまう。
どうしても気になってしまって。

理由は、彼は、赤也は幼なじみだからだ。
でもそれは昔話。今は一切口をきいていない。
親同士はずっと仲が良いけど、一年前くらいから赤也と私の関係は途絶えてしまっている。

中1の頃はクラスが別々で、なかなか会う機会を作れずに終わった。でも今は同じクラスなのにも関わらず、ちょっとした挨拶どころか私と目も合わせようとしてくれない。

赤也にとって私は、昔の話なんだなと思った。それがすごく寂しくて、悲しかった。
ずっと仲良く遊んでいたのになんでこうなったんだ?

私は昔も今も、赤也が好きなんだけどな…


「時間だぞー!後ろの人、回収回収!」


先生が手をパンパンっと鳴らした事により、我に返った。

また私は赤也のことばかりか懲りないな!
いい加減頭の中から赤也を抹消しなきゃ自分がしんどいだけだというのに。

どうしても赤也のことを考えてしまう自分に腹を立てながら、1番後ろの私は席を立った。

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わらびもち

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