お前のせいだからな 

2年前、桜並木の帰り道。


「今日、よかったらうちに遊びにこない?」

「いきたい!長太郎くん家のにゃんこに会いたい!カルボナーラだっけ?」

「フォルトゥナータだよ、名前ちゃん…日吉くんは?」

「悪いな、今日はそろばんの日なんだ」

「えー!そろばん何時から?」

「18時」

「それまで遊べるよ!一緒にいこうよ!」

「うるさいな。そろばんの用意とかしなきゃいけないんだ」

「まだ15時だよ〜?そんなにゆっくり用意しなくても」

「アホか、用意する他にもいろいろあるに決まってるだろ宿題とか!」

「ま、まぁまぁ。また今度いっしょに遊ぼうよ」

「そうだね!じゃあ長太郎くん、宿題持ってくからいっしょにやろ!帰ったらすぐいくね」

「うん!それじゃあボクはこっちだから。日吉くんまたね」

「ああ」


鳳と別れてから、名前と二人になった。
こいつとは家が近所だから、いやでも帰り道が一緒になる。


「ねーねー、ほんとにこないの?」

「行かない。宿題もあるってのに遊んでられるか」

「じゃあ若もいっしょにやればいいじゃない」

「へっ。お前アホだもんな。どうせ鳳の宿題を写すだけだろ」

「みくびらないでよ!わかるとこは自分でやるもん!」

「でもわからないとこは写すんだろ」

「うん!」

「開き直んな。だいたい、宿題は静かにやりたいんだよ」

「それ、私がうるさいって意味だったりしないよね!」

「そう言ったつもりだけど?」

「あっそ!もう若にはぬれせんべいおすそ分けしてあげない!」

「!!」


名前のおじいちゃん家は、由緒あるおせんべい屋さんだ。
だから、しょっちゅうおせんべいをもらってくる名前に、いつもおすそ分けしてもらっている。

名前のとこのじいちゃんが作るぬれせんべい、美味しいからな……


「ちょっとだけだからな」

「わーい!じゃあ、おやつにおせんべい持ってくよ」

「ぬれせんべいも食べたい」

「わかってるよ!じゃあ、用意していっしょに長太郎くん家いこ!先いっちゃダメだからね!」

「はいはい」



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わらびもち

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