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「…ちょっと、可愛らし…すぎる、かな?」
「お似合いですよ」
「…なんか昔を思い出すな」
「そうかな」
「昔はそんな服もよく着てなかったか?」
「どうだろう…」
「着てたよ。よく覚えてる」
「はじめてデートしたときも、花火大会に行ったときも、いつも君は可愛らしかった」
「なんだか、今は可愛くないみたいに聞こえるね」
「綺麗になったよ」
「零くんは変わらないね」
「そう?」
「うん、変わらない」
「変わったよ」
「ううん、大丈夫。変わらないよ。ちゃんと昔のままだよ。真っ直ぐで、優しくて、強い零くんのままだよ」
「…不思議だな。君に『大丈夫』って言われるとなんだか安心するんだ」
「『絶対、大丈夫だよ』」
「私の大好きな人の受け売り」
「愛してる」
「うん」
「あんまり嬉しくなさそうだね」
「零くんにね、『愛してる』って言われると少し悲しくなるな」
「どうして?」
「もう二度と会えなくなりそうで」
「否定は、しないさ」
「だから伝えたいんだ」
「うん。そういうとこ、大好きだよ」
「うん、言えるうちにいっぱい言わせて。それで、いっぱい聞かせて」
「零くん、ここで大丈夫」
「気をつけて」
「またね、今日は会えてよかった」


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