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「今ちょうど下で慌てて帰宅された蘭さんとお会いしまして」
「なんだかケータリングみたいですね」
「おや、お気に召していただけたならいつでもご自宅でもどこでも配達しますよ」
「どさくさ紛れで口説いてんじゃねえよ」
「おまたせしました!」
「ごめんなさい、急に押し掛ける形になってしまって」
「いえ!こちらこそ、汚した上にわざわざご足労いただいてすみません」
「ねーねー、お姉さん。お姉さん、なんであの日ポアロに来てたの?」
「ピアスをね、落としたみたいで」
「あ、その桜のですか?梓さんに聞いてました。最近ご無沙汰な常連さんが落としたみたいだ、って」
「どうしてポアロに落としたってわかったの?誰かに教えてもらったの?」
「だってお姉さん川品の人で、わざわざ米花町のポアロにだけ通ってるって訳じゃないよね?バッグに付いてるそのチャームも、カフェポイントの記念品だよね」
「うーん…特に、理由はないかな。なんとなく今まで行ってなくて、たまたまこの前行ったら榎本さんが取って置いてくれたみたいだから」
「本当に?ほんとに、安室さんに会いに来たわけじゃないの?」
「コナンくん、前も言ったけど僕と#name1#さんはあの日が初対面だよ。ですよね?」
「ええ」
「私、そろそろお暇させてもらいますね。これ以上ご厄介になる訳にもいきませんから。それに高名な毛利探偵の事務所で歓談が聞こえていてはお客さんも入って来づらいでしょうし」
「いえいえそんなお気遣いなく!」
「蘭さんに直接お礼が言えてよかった。今日はありがとうございました」
「店に戻りついでに下までご一緒しますよ」
「僕も!」


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