突然ギルに呼ばれたのですっ飛んでいった 。廊下で何人かとすれ違ったとき、みんな決まって驚いた顔をしていたけれど、そんなにはやく走ってたかな、わたし …… なんて、こんな事をのんびり考えてるひまはないのだ 。あのギルが直々にわたしを呼ぶなんてはじめてだったし 一刻も早く彼のもとにいかなければなにをされるやら 。
お前の部屋で待っている、と言ったギル 。ちゃんと部屋を用意してあるはずなのに 、なんでか彼はわたしの部屋にばかり居る 。居心地が良いのならうれしいんだけど 。

「 ギルー? 」
「 ああ、入れ 」

いやわたしの部屋だし … というツッコミは 、何回胸の中に押さえ込んだだろうか ? マイルームに入ると 、わたしのベッドに腰をかけているギル 、は、なにやら蔵から何か取り出している様だった 。

「 おまえは雑種にしてはなかなか頑張っているからな 、褒美だ 。受け取れ 」
「 えっ!? … 王、なんですかこれは 」

ちいさなワイン瓶のようなものに、正体不明の液体が入っている 。明らかにワインとは違う色をしていて思わず後ずさると腕をがしり、とつかまれてしまった 。

「 良いから飲めなまえ!まさかとは思うが我からの褒美が受け取れぬと? 」
「 ひいい … ! いや何というか流石に怪しすぎるっていうか … 」
「 … 仕方あるまい、我が飲ませてやろう 。それで怪しくなど無いと証明出来るだろう 」 「 へ? 」

ギルが飲ませるとは ? まさかあの、口移しとか … いやいやいや待ってギルとの絆は最近5になったばかりだしそんななったばかりで口移しなんてちょっと展開が早すぎるっていうかいつの間に飲んでるし! うわ 、うわうわ … !

「 ……ん!、ぅ … 」

予想通りのはずなのに、物凄い動揺しているわたしがいた 。すこしずつギルからワインらしきものが口内におくられてきて 、押し返す訳にもいかないのでこくり、こくりと飲んでいく 。ていうかこれ、一体どういう飲み物なんだろうか、ぶどうみたいな味だから 、やっぱりワイン … ?

────── なんて、考えている間に舌を絡めとられた 。ぬるりとした感触が、ふつうなら気持ちわるいはずなのに、これ、………

「 っふ、…良い表情だな、なまえ 」「 は、────っはぁ、…もう、 」

じろりと睨むと、なぜか得意げに微笑む