「あれ、想ちゃん、今日お寝坊さんなん?ご飯食べられなかった?」
「寝坊じゃあないんだけど…ないんだけど…なんか…朝から色々あってさ」
「疲れとるね、大丈夫なん?」
「ううお茶子ちゃんありがとう…」
自席でコンビニのおにぎりをもぐもぐ食べていると登校してきた麗日が首を傾げながら想の目の前まで現れた。
ぽんぽんと元気出せの意を込めて撫でられたそれに、少しだけ活力を戻した。
ごちそうさまでした、と手を合わせとゴミを捨てに席へ戻れば前の席の人物が登校していた。
「あれ、爆豪くんだおはよー」
「アァ゛?るせェよ」
「えぇ、挨拶しただけなんだが」
お腹が満たされ満足してにこやかに挨拶した想に爆豪は一瞬顔を顰めた後、舌打ちしギロリと睨む。想はいるよねこういう不良キャラと、母のゲームを思い出し少しだけ笑みを崩した。
「み、み、みょうじさん、かっちゃんおはよう」
「あ、おはよう緑谷くん。」
後ろの席へ登校したばかりの緑谷が挨拶してきたので振り返り笑いかける。
「クソナードがオレに話しかけンな!」
「ナード?ってスラングだけど特定の知識が豊富な人のことだよね、緑谷くん何について詳しいの?」
「えぇっ!それは、そのぉ!?」
「緑谷くん焦りすぎて声が裏返ってるよ」
「るせぇ爆破すんゾ、クソデク!」
ボンと掌で個性を爆破させた爆豪に想は眼を瞬く。びくりと怯え切った緑谷に想は再び体ごと向き直った。
「デクくんって言うんだ?」
「い、出久です…」
「そっか、かっちゃんにデクくん。なんか良いね」
「ハァ?ふざけろ」
「私こっちで友達いなかったから仲良い呼び方に憧れるなぁ。私にはなんか無い?」
母親似のこの容姿だし、可愛いあだ名つけてくれたらいいなぁと想は首を傾げながら問いかければ顔を凝視され一瞬の沈黙後二人は再起動した。
「えっ急に言われても…」
「ねェよ。水色で充分だそれか泣き虫女」
「…それはちょっと可愛くないかな…いやまって、爆豪くん私まだ目元赤い…?通学時に冷やしたんだけどな…」
「あぁ゛?バレバレだ」
「え、えぇ…?」
「みょうじさん、何かあったの?」
「んーん、朝ちょっと色々あってね、今はもう大丈夫。」
「な、ならいいんだけど……」
近くの瀬呂や耳郎のえ?気づいた?視線に無言で横に首を振る姿に想は、なんでバレたんだ?と首を傾げた。
そのまま授業は始まり、午前は必修科目、お昼は大食堂で一流の料理が安価で食べられる。
「ええぇ、雄英うけてよかったぁ…」
「ご飯が美味しいだけで生きてるって感じがするよね」
「うんうん!」
お友達になった彼女らとのご飯も美味しかった。
午後からはヒーロー基礎学。オールマイトが登場し教室が沸き立つ。
バリアジャケットとは別に被服控除で要望を提出していた想は注文通りのその出来に黄色い悲鳴をあげた。
「わぁ!新しいコスチュームって心が躍るなぁ!」
「うっわ麗日の衣装パッツパツじゃん大丈夫それ?」
「ホンマやーちゃんと要望を出しておけばよかったぁ」
最後にと腰にバサリとマントを装着した想は自分がオーダーした出来に満足していた。改造も今後自由だと聞かされてからは夢を膨らませていた。
「えっ葉隠さん手足だけ?」
「アイデンティティがなくなっちゃうからね!本気モードはこれも外しちゃう!」
「羞恥心どこ置いてきたの!?」
「にしてもついにヒーロー基礎学かぁ!うぅ緊張するねぇ梅雨ちゃん!」
「ケロ、そうね、楽しみだわ」
授業が始まりいかしてるぜ!とオールマイトに衣装を褒められてクラス中が浮き立つ。
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零