んで―――来て…で、―ラ…ケ――のよ――!!
誰かの大きな声で目を覚ました。霞む視界と痛む頭を無視してごそりと、起き上がろうとした…が、
腕を体ごと縛られ思うように身動きが取れない…待て。待て待て、なんで足まで縛られてるんだ、くそっ…!
…ダメだ、頭、痛すぎる……遠慮なしに、思い切り殴りやがって。何やら男が携帯で神崎さんに写真を見せているようで、チラリと見えたソレは少し派手な格好をした、彼女だった。
それを境に、私はまた意識を手放した―――
次に目を覚ました原因は微かな揺れだった。幾分、頭の痛みもマシになっている。はてさて今はどういう状況なんだ、なぜ私はこの男に姫抱きにされているんだ、気持ち悪い。どうせならもっとイケメンにされたいっての。
「ここなら騒いでも誰も来ねえな」
連れてこられたのは、どこかの潰れたBARらしき所だった。確かに騒いだところで誰も来ないのは明らかだ。他の男が電話をしているのが見える。
きっとこの男の命令で仲間を呼んでいるのだろう、その仲間とやらが来るまでの間、クズ共は酒やタバコ片手に少し離れた所でワイワイと下品に笑っている。お仲間とやらが来るまでは、まだ大丈夫なはずだ。
『はぁー、2人とも大丈夫だった?車で何もされなかった?ごめんね、1度、目覚ましたんだけどね』
「私達は大丈夫だよ!遊乃ちゃんこそ、頭殴られたんだから無理しないで」
「遊乃さん、無事で良かった…!」
『ありがと、大丈夫だよ』
「なら、良かった……そういえば神崎さん、ちょっと意外さっきの写真。真面目な神崎さんもああいう時期あったんだね」
その言葉に何か嫌なことでも思い出したのだろうか、俯きながらも彼女は口を開き話してくれた。彼女の父親は厳しいらしく、良い学歴、職業、肩書きを求められそれから離れたくなった神崎さんは知ってる人がいない場所で、格好を変えて遊んでいたそうだ。
「…バカだよね遊んだ結果、得た肩書きは"エンドのE組"もう自分の居場所がわからないよ」
『……エンドのE組、ねぇー。前までの貴方達のことは知らないけど、今の貴方達のことは少し分かってるつもりよ。皆、楽しそうで、輝いてる…私にはそう見える。それに居場所は誰かが決めるもんじゃない。神崎さん、貴方が決めることだよ。
肩書きだって関係ない。そんなもの気にするだけ無駄だよ。神崎さんは神崎さんなんだから、今を楽しまなきゃ』
気休めにでもなれば、それでいい。今まで暗殺者、その肩書きに職業に何も好きなことを出来なかった私だから。
でもこの子達は違う。まだ未来がある、色んな可能性がある。こんなとこで息詰まって欲しくない。
――だから大丈夫。そう言おうと、思った直後、
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