if エルドライブ




キンキンと喚く目の前のやつに、隠すことなく舌打ちすれば更に私を怒鳴る声は悪化した。


「あー、もう、本当うるさいなぁ。そんなに気に食わねぇなら殺せよ?なァ?!……ま、その前に私がお前を……」


そこまで言葉を発し、止めた。否、止められた。耳につけてる無線から"辞めろ"と指示が聞こえたからだ。次は内心舌打ちを零し大きく溜息を吐き出した。


「私は何も知らないし、美鈴はそんな女じゃありませーん。もう帰っていい?あんたの顔見てると吐き気してくるんだわ。……じゃっ、お疲れさまでした」


椅子から立ち上がり片手を振り、喚く声を無視して扉の前へ立てば勝手に開き勝手に閉まる。完全に閉まれば雑音はシャットアウトされ、ホッと息をついた。


「……ごめんね署長。これでも耐えた方なんだよォ?なんなら褒めて欲しいんだけど?」

「あのなぁ……ったく。ハイハイよく耐えたよ。次はもっと耐えてくれ」

「うん、無理かもだけど頑張るね。ふふ、私をこんなに使えるの署長だけだよ?」

「あぁ、存分に思い知ってるよ」


その言葉に、ふと笑い目線を前へと向ければ見知った顔に頬が緩んだ。


「やっほ〜宙太!ベロ!ニノ!」

「「「遊乃さん!!」」」


顔を赤くしたあと、思い切り頭を下げたベロに苦笑いを零す。何故かこの子はいつもそうだ。かしこまるなって、言ってんのに。


「あんたらも今からあいつの取り調べでしょ〜?頑張ってね。超〜ウザイから!途中で出てきちゃった」

「さ、さすが遊乃さん……本当マイロードですね……」

「まぁね〜。私を動かせるのは、私が認めた人と署長だけだよ」


じゃね、と手を振りすれ違ったところで足を止める。


「ニノ、あの目玉野郎にあんま集中すんじゃねぇよ?な〜んかやなんだよね、あいつ」

「え、あ、はい!遊乃さんがそう仰るなら努力してみます……!」

「あはっ、いい子〜」


サラサラの髪を数回撫でてやり、今度こそその場を立ち去る。私の勘ってバカほど当たるんだよね〜、しかも全部面白いほどに嫌な勘がね。

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