「エクソシストだ!初めて見た!!今の対アクマ武器ってやつ?よく見せ…あれ?」

「ちょぉ!?アレン??!大丈夫!?」


勢い良く抱き着かれ、倒れたアレンの頭からはドクドクと血が流れ真っ青な顔をしていた。

◇◇◇

「オレの親父ヴァチカンの科学者なの。でもいっつも仕事で留守でー、暇潰しに読んでた親父の研究資料でアクマのこと知ったんだ!」

「へぇ、そうだったの。だからあんなに詳しかったのね」

「そ!いつかオレもすげー科学者になってアクマを一瞬で消すような兵器を造んのが今のところ夢!」

「ふふ、その夢を叶えてくれたらかなり助かるな」


ローラーが何個もついた靴をはき、滑るように進むジャン。この靴も発明品かな?楽しそうだな。


「それにしても……エクソシストってこんな貧弱そうなのでもなれるんだ。オレのイメージ、マッチョのおっさんだったからさ。アレンて真逆だな。ラズアなんか女だし」

「あ、はは。まぁ、マッチョのおじさまもいるけどね」

「やっぱいるんだ!?ねぇ、今までどれくらいアクマ壊した?その対アクマ武器はどうやって手に入れたの?初めてアクマ壊した時、どんな気持ちだった?」


質問攻めするジャンに苦笑を浮かべ、アレンを盗み見た。彼が初めてアクマを壊した時……か。一番聞かれたくないことだろうな。私が口を開くよりも先に、アレンは注意する。


「ジャン、あまり首を突っ込まない方がいい。これ以上、伯爵の目に止まるようなことはやめるんだ。危険だよ」


ムスッとしたジャンの肩に手を置き、目線を合わせるように屈んだ。


「そうだよ。もし、ジャンが伯爵に殺されちゃったらどうするの?アクマを一瞬で消すような兵器造れなくなっちゃうよ?将来ジャンの発明品使って戦いたいんだから」


ね?と、小さく微笑むもやはり表情は変わらなくてジャンはアレンに何かを渡した。その瞬間ジャンに腕を引かれアレンから少し距離を離される。直後にアレンから爆発音と煙。


「へっへー!オレ発明タマネギ爆弾だい!アクマの侵略を黙って見過ごすなんてごめんだね!何が危ないだ!ガキ扱いすんな貧弱!」

「あ、アレン……大丈夫?」

「目…っ、目が……!ったく、知らないぞ」


涙の止まらぬ両目を擦り、ジャンの背中を見つめるアレン。知らない、なんて言いながらもきっと優しいアレンのことだ。放って置くわけがない。私も心配だしね。にしても、


「タマネギ爆弾か。威力すごそう」

「えぇ、そりゃもう……」

「身を以て体験してるものね」


言いながらハンカチを渡して、手を差し伸べた。お礼を言い立ち上がったアレンは、やはり心配なのかいつまでもジャンが去っていった方を見つめている。


「ふふ、心配なんでしょう?様子見てみようか。ホームへ行くのはその後からでも遅くないよ」

「……ラズアには敵いませんね」


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