公認ストーカー

ピピーッと笛が鳴る。
同じ神奈川県の高校のアメフト部との練習試合に余裕で勝ったのは僕たちの通う神龍寺ナーガだ。
TEである僕は攻守が切り替わってから出番は無いだろうとベンチで悠々とドリンクを飲みながら見物をしていたのだが神龍寺のベンチから少し離れた公衆トイレの裏から何やら不穏な会話が微かに聞こえて来た。


「阿含じゃん。何、喧嘩?やめなよ、試合出来なくなるじゃん。」

「何だテメェかよ。今こいつシメてんだよ邪魔すんな。」

「辞めなよ、もう試合終わったからみんな帰る支度してるよ。」


舌打ちを聞こえるように盛大にして胸倉を掴んでいた子を思い切り突き飛ばし僕の隣を歩いて行った。


「大丈夫?何かされたの?」

「あ、いえ。見てたら絡まれたんすよね。」

「ふーん。気をつけなね。」


あはは、と軽く笑ってバー状の栄養補給食をモシャリと齧っていたのは今まさに阿含に絡まれていた子だ。彼は黒髪赤目の細身の青年で、なんともまあ凄い色をしたお目目だこと。タレ目がちの彼はきっと女の子の格好をすれば普通に世間を騙せてしまうのではないだろうか。アメフトをやっているからかここまで華奢な体は中々見られない為ついガン見してしまう。華奢な子を見るとつい肉体改造させたくなるのが僕の悪い癖。
そんな癖が出る前にヒラリ、と片手を上げて僕も阿含たちの元に踵を返すと背後から「ありがとうございました」と小さな蚊の鳴くような声が投げられた。



***



「あれ、あの子。」

「どうしたんスか?先輩」

「阿含に絡まれてる子。見たことある子だなって。」

「ああ、あいつまた来たんスね…先輩のファンらしいっスよ。先輩は男にモテるから仕方ないですけどね。」

「また阿含のヤツ…」


部活が終わり寮までの道を一休と雲水と僕の三人で歩いていると校門の方で言い争いをしている人影を見つけた。
一人はドレッドヘアで阿含と分かったがもう一人は誰か分からないが見覚えのある顔に足が止まる。阿含が人に絡んでいるのを見て雲水は頭を抱え彼に向かってズンズン歩き、それについて僕たちも歩き出す。
近くに行けば行くほど、以前練習試合の時に阿含に絡まれていた子だと思い出した。何故こんなところにいるのか、学校見学だろうか。
パックに入っていたバナナミルクをストローでズココ、と吸い込む。

阿含を雲水が叱っているの隣で言い争いをしていた青年に話を聞く事にしたのだが、僕を見るなり目を輝かせ手を握って来た。
ああ、何て綺麗な色をした瞳だろうか。吸い込まれるような大きな目に、前髪を撫でるように手を添えるとにこりと微笑まれると、手を握っていたその手がスルリと離れてそのままギュッと抱きしめられた。


「俺、新開悠人って言います、ようやく会えましたね!」


クラリとするくらい女の子のように甘い良い匂いがして目頭を抑えてこの感情を殺すが当の本人は至極嬉しそうに僕の胸に顔を埋めるし、阿含と一休が煩いくらい叫んでるし雲水はまた面倒な事が起きたと言わんばかりの顔をして項垂れていた。


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・神龍寺ナーガ三年生(TE)
・175センチ、65キロ、ベンチプレス95キロ
・40ヤード走5秒ジャスト
・バナナミルクが好き
・女の子好きなのに男の子にモテるのが悩み
・王城ホワイトナイツのマネが好き

・悠人に片想いされてる
・悠人繋がりでハコガクとお友達になる
・荒北と休みの日に遊びに行く位仲良くなる
・↑に悠人が嫉妬しまくり
・尽八レベルで連絡してくる

・最後はハピエン予定