06
犬夜叉が生きていた。彼の風の傷という技が繰り出された時はめちゃくちゃ驚いた。戦国時代でこんな技ぶっ放せるとかどこのファンタジーなの。戦国ファンタジー?そんなジャンルあるの…?神楽の技にも驚きでいっぱいだったのにこんな獣の爪痕みたいな物を残してしまうだなんて…神楽が退散したかと思うと今までここにあったお城が消滅してしまい残念ながら振り出しに戻されてしまったのだと言う。
「く、う…」
「鋼牙?鋼牙、大丈夫?」
神楽は退散したものの、鋼牙の腕に仕込まれたかけらは未だに彼の中にいるわけで、そのせいで肌の色がどんどん変わり始め毒に侵されているのを物語る。このかけらは四魂のかけらそっくりに作られているが瘴気(毒みたいなものと説明された)の塊で真っ赤な偽物だったよう。そんな偽物に気付かず鋼牙は腕に仕込んで今、もうかごめちゃんすら手を付けられない状態に陥ってしまっている。
とにかく毒がこれ以上回らないように着ていた服を少し破って肩辺りをきつく縛る。意味があるかは分からないけどそれしか今の私には出来なかった。
「か、かごめちゃんっ、鋼牙が…」
鋼牙にはあまり良い第一印象ではなかったが仲間のためにあそこまで怒れるのだ、仲間思いで優しい男なのではないか。まだきっと生きてる仲間がいるはず、その仲間の為にも彼には生きて頂きたい。目の前で苦しんでいる鋼牙をただ見ているだけしか出来ない私でごめん。
あーだこーだ背後で言い合っているが今の私には全く聞こえておらずどうしよう、と考えるばかり。すると刀を振り上げている犬夜叉がそこにいた。
「まっ、待ってよ!鋼牙に何するつもり?!」
「その腕たたっ斬るんだよ」
「そんなっ!何か助かる方法があるかもしれないじゃん!」
「じゃが瘴気が強すぎてかごめの手でも取り出せなかったではないか。」
「で、でもっ…」
土を握りしめるが七宝の言うように犬夜叉に腕を切り落とされた方が良いのだろうか。するとかごめちゃんが何か思い付いたのか制止の声を上げ矢を鋼牙の腕に突きつけた。
「私の矢は奈落の瘴気を消せるのよ。だったらきっと…」
鏃がグッと突き刺すと痛みから呻き声が漏れる。待って良い考えだとは思ったけど流石に目の前で矢を刺されるとかかなりの心労になる…知らなかった、見てる側も痛いと感じてしまう事もあるんだなんて。かごめちゃんが鏃を刺すと途端に腕の色が引きかけらが取り出された。
「あ、…取れた…取れた!」
かけらが取れ良かったと鋼牙の腕をさする。本当にあのままだったら犬夜叉に腕を切り落とされてしまっていたかも知れない。もしもの未来を考えるとゾッとして再度鋼牙の腕が何ともない事を確認しかごめちゃんの力に感動をした。が、すぐさま犬夜叉との言い合いを始めた事に感動がなぜか薄れた。挙げ句見逃してやるぜ、とかぬかして旋風起こし去っていった。
***
小さな廃堂でかごめちゃんたちは話し合っていた。この一行と確かに行動を共にはしているがいわば新人ともいえる私には(一から説明はされたが)状況がさっぱり分からない。
とにかく分かるのはあのヒヒの仮面を被った奈落が神楽を生み出したというだけ。ちなみに仮面の下はどこかのお城の若様の外見をしているそう。絶対イケメンじゃん。
「それで、奈落は桔梗と言う巫女を殺して四魂の玉盗んで、その一連の罪を犬夜叉に擦りつけたってこと?」
「そんな感じかな。ちなみに桔梗はある事情で生き返ってるのよ。」
「ファ、ファンタジー…さっきのゾンビみたいな風貌とか…?」
「ううん、ちゃんと人の形をしてる。けど、土で出来てるから血とかは無いみたい」
「黒魔術の域じゃん…戦国時代ってこんなRPGみたいな事あるの…?」
あはは、と苦笑いするかごめちゃんから衝撃的なお話ばかりされるし、難しい話が連なって頭がパンクしそうになる。一応大学だってちゃんと出たけど根っからのおバカな為色んな話をされると訳が分からなくなってしまう。でもここで分からないなんて言ったらこれから行動を共にするのに不便になる故、地面にメモを取りながら必死についていく。メモをしているうちに一つ欠伸が溢れた。命の危機的状況で緊張が続き、それがようやく解けたようで睡魔に襲われそのまま視界がフェードアウトをしてしまった。
遠くの方でかごめちゃんが笑ってる声が聞こえた。
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