「も、いやです⋯⋯」

 思った以上に掠れた声が出た。陽が落ちてすぐ寝台に引き摺り込まれ、散々弄ばれた後だったから当然と言えば当然だ──が、武将であるわたしは並みの女とは違う。体力も筋力も足腰の強さも。だというのに下半身がだるいし、全身が重い。
 こんなにした張本人は、恐ろしいことにまだ物足りなさそうな表情でわたしを見下ろしていた。

「⋯⋯まだ足りん」

 わたしは眠気に耐えきれず、不満げな表情通りのその呟きを無視して目を閉じた。求められるのは嬉しいけれどこの侠の体力に付き合っていたら死んでしまう。

「寝るな」
「むりです⋯⋯」

 即答したら彼は黙って何か思案しているようだったが構っていられなかった。
 本当に眠い。でもお腹が空いた。何か食べたい。夕餉を食べ損ねたし、喉も乾いたし、あと身体を拭きたい。ああ、でももう目を開けるのもつらい。

「何回ヤッた?」
「んぅ、う⋯⋯よ、ん⋯⋯かい⋯⋯?」

 疑問符がつくのは、気をやらされた回数がそれの比じゃないからだ。

「そうか。回数を覚えているならまだ大丈夫だ」
「な⋯⋯っ!」

 わたしは思わず目を見開いて、力いっぱい自分の上の侠を押し退け──押し退けようとしたけど無理だった。まったくどこまで底なしの体力を持っているのだろう。いや、そんなことはどうでもいい、聞かないでおいてあげるから休ませてほしい。

「ほら見ろ、まだそれだけ体力が残っている」

 言いながらまた圧し掛かってきた孫策に、多分わたしはこの若虎に食べられて死ぬのだろうなぁとぼんやり思った。






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