「あの、趙雲さま⋯⋯厩へ行っても?」

 ちらちらと雪の舞う外の様子を見て、玉兎が叱られた子供のようにお伺いを立ててきたので、趙雲は「ああ」と二つ返事で頷いた。
 今朝は冷え込むものの視界が悪いわけではない。だが、玉兎は雪が降ると毎回こうして外へ出てもいいか確認してくるようになってしまった。気まずげを通り越して、いっそ怯えているといってもいい様相だ。不味いことをしたという自覚があるからなのだろうが、しかし状況が状況だったので仕方なかったとはいえ頭ごなしに怒鳴りつけたのは不味かったな、と趙雲も考えていた。
 頼れる者もほとんどないこの土地で、桃花は玉兎がすっかり気を許せる数少ない相手なのだ。戦場のみならず旅路を共にする大事な愛馬で、友で、家族と言っても差し支えない絆で結ばれている。初産を控えていなくとも心配するのは当たり前だし、そもそも、こちらももっと雪の怖さを教えておいてやるべきだったのに。

 そんなことを考える趙雲のあずかり知らぬ間に、あの夜以来、彼に対してのみぎこちない態度になった玉兎を見て、兵のあいだでは"手篭めにされたのでは”という噂が立っていた。酒も入っていたし、臥所(ふしど)で侠と女が裸で抱き合って何もないわけがないだろう、と。しかも彼らは、凍死しかけている相手への緊急処置と分かっていて言っているので底なしにタチが悪い。その噂は玉兎本人の耳に入るより先に、ある者の耳に入った。趙範という侠である。
 趙雲が下世話な噂に気付いたときにはすでに彼が兵たちを強く咎めていたので、幸いと言うべきか噂はすぐに絶たれた。おかげで玉兎のほうは何も知ることなく、趙雲がささやかな話し合いの場を持ったことで、関係を修復した。

 そんなことがあって、ようやく以前と同じ距離感で接するようになった頃だった。

「わぁ、趙雲さま、見てください。ナズナがこんなにたくさん」

 二人で哨戒に出た折、玉兎がなだらかな山道の脇に入った場所でナズナを見つけた。彼女は趙雲を片手で呼び寄せながら近くの木に戟を立て掛けると、鼻歌の一つでも歌いだしそうな機嫌の良さで早速ぷちぷち摘み始めた。無理もない、客将として身を置く彼女は人前では常に気を張っているのだ。それを分かっている公孫瓚に頼まれ、趙雲は哨戒とは名ばかりの息抜きに彼女をしばしば連れ出しているのである。
 愛馬から降りた彼も、呼ばれるまま低木を掻き分けて、同じように槍を立て掛けると玉兎の隣にしゃがみ込んだ。飛影閃ものそのそ後を着いてきたので、枝の折れる乾いた音が響く。

「皆、喜ぶだろうな」

 一緒に摘みながら口にすると、玉兎はにこりと笑顔を向けてきた。
 気安い間柄だと思う。彼女がこうして無防備に、素の顔を見せてくれる侠が、この幽州でどれほどあるだろう。そのうちの一人が自分であるということを、趙雲は大変嬉しく思っている。彼女があの呂布と数合とはいえ斬り結んだ兵(つわもの)だからというだけでなく、一人の侠として惹かれるものがあった。
 だが彼女は、養女とはいえあの江東の虎の娘だ。嫁ぐのであれば、自分のようなただの武将ではなく、もっと上の位、たとえば、そう──公孫瓚将軍のような侠が相応しい。傍から見ていてもお似合いだし、二人は根に通ずるものがある。自分の想いは誰にも悟られぬように秘めておくべきだということを、趙雲は弁えていた。だから、こうして隣に在るだけで満足するべきなのだと自身に言い聞かせている。

 ⋯⋯しかして、若い恋心である。

 いずれは自分も彼女ではない誰かを娶って子を成すのだろうと趙雲は漠然と先の予想を持っているが、玉兎に操を立てるのも悪くないと思い始めていた。それで子を残せなくとも悔いはないと、この想いを抱えたまま他の女を娶るのは不誠実だと、すでにそこまで来てしまっていることに趙雲自身も薄々は気付いていた。
 だが彼女は⋯⋯直にこの地を去る。桃花が無事に子を産んで、移動できるようになれば、また武者修行の旅を再開するだろう。
 離れれば忘れられるかもしれない。そんな日は来ないとしても、焦がれたまま傍にいるよりはきっといい。いいはずだ。そうであってほしい。
 軋む胸を誤魔化して、趙雲は笑みを返した。

「ふぅ⋯⋯こんなものかな?」

 二人してしばし無言で下を向いていたが、ようやく玉兎が顔を上げた。昼の握り飯を包んでいた風呂敷きに、今度は摘んだナズナをたっぷりと包んで立ち上がる。それを飛影閃の鞍に括りつけると、戟を立て掛けた幹に寄った。趙雲も両手を払って後に続く。

「さ、戻りましょう。遅くなっちゃった」
「ああ。皆に場所を教えて摘みに来てもらってもいいな」

 笑い合い、各々の手が得物に触れようとした瞬間だった。

「ん、飛影閃、どうしたの?」

 背後に近付いてきたものに玉兎が気付いて振り返り、趙雲もつられて首を捻ろうと──

「うわっ!?」
「えっ?」

 傍の木立に気を惹かれて尻を振ってきた飛影閃に背中を押され、趙雲はよろめいた。反射的に出した両手を、玉兎を囲うようにして幹に着く。

「玉兎⋯⋯すまないが、よっ横に⋯⋯よけてくれっ⋯⋯」

 呻き混じりに言ったとき、飛影閃がさらに身体を寄せてきた。

「あっ」

 と、頷きかけていた玉兎も声を上げた。

「ど、っどうした?」
「ごめんなさい⋯⋯足を踏まれて⋯⋯」
「え!!?」

 趙雲はさすがに汗が噴出した。馬や牛に足を踏まれたら、無理に引き抜こうとすると骨が折れる可能性があるので、相手が足を退けてくれるまでじっとしているしかない。つまり、互いに一歩も身動きの取れない状態になったということだ。これで焦るなと言うほうが無理である。しかも恐ろしいことに、飛影閃はいまだじりじりと圧を掛けてきている。二槍を自在に操る趙雲でも、馬相手に力比べとなると今の体勢もあって分が悪すぎた。

「ひっえぃ、せん⋯⋯! お、おまえ、ちょ、ほんとに⋯⋯!」

 もう言葉にならない。もそもそと暢気な咀嚼音が聞こえる中、額に汗を滲ませて趙雲は必死に腕を突っ張った。このままでは玉兎を潰してしまう。

「⋯⋯⋯⋯」

 一方、低く呻く侠の腕に囲われて、玉兎はあまりの居た堪れなさにうつむいていた。間近にある体温に、あの夜のことが思い出されて気忙しい思いで一杯で、息を殺すしかできない。
 彼の腕は長くしなやかで、力強かった。肩は広く、胸板は厚く、侠の身体というものを初めて知った。彼の身体に興奮していると自覚した瞬間、玉兎はやはり居た堪れなさと恐怖で一杯になった。つい先ほどまで死の淵にあったにも関わらず、次には身体を熱くしているのだから、自分は節操がないのかという恐怖と不安が押し寄せたのだ。それは半分は飲まされた酒のせいなのだが、朦朧としていた彼女は知る由もない。
 聡い趙雲のことだから、自分の様子に気付いたに違いない。彼は何も言わないでくれたが、いや、むしろ、ドン引きして掛ける言葉も見つからなかったのだろう──玉兎はそう考えていたが、趙雲は気付いていなかった。というか、それどころではなかった。相手は凍死しかけているのだから当たり前である。そして趙雲は今もそれどころではない。

「ぐ、⋯⋯!」

 全身に力を込めて踏みとどまっているが、さすがに自分の愛馬だけはある。その健脚ぶりは実に見事なもので押し返せる気がしない。

「⋯⋯大丈夫ですか?」

 不意に額の汗を指で拭ってきた彼女に、趙雲はますます頬を紅潮させた。信用してくれているからなのだろうが、いくらなんでも無防備すぎる。目の前の侠がどんな目で、どんな思いで自分を見ているかなんて想像もしないのだろう。
 心に、ふと昏いものが過ぎる。彼女がここまで無防備なのは、自分を侠だと微塵も思っていないからだ。

「⋯⋯玉兎、」

 絶望感か、昏い情欲か。何が切っ掛けだったのだろう、呼べば見上げてきた彼女の口を吸うなど無礼極まる真似をしたのは。

「⋯⋯な、⋯⋯なん、な、」

 彼女は口元に手をやって真っ赤になっている。その姿に、恋慕が理性を瞬間的に上回った。

「お前が虎の娘と知っていて、それでもなお、私は⋯⋯玉兎、お前を慕っている」

 袖にされるなりなんなりされるだろうと思っていたが、返ってきた答えは趙雲の予想しないものだった。

「でっでも⋯⋯あなたは、直に結婚なさるのでしょう」
「待て⋯⋯、誰がそんなことを?」
「趙範さまが⋯⋯あなたは、未亡人となった趙範さまの兄嫁さまを娶ると⋯⋯」
「その話はいつ聞いた」
「え? それは⋯⋯先日、」
「この一月の内か?」
「ええ。何日前かは失念しましたが、それは確かです」

 趙雲は深々と、腹の底から溜め息を吐いた。趙範の思惑に気付いたからだ。彼は玉兎に気があるのだ。噂を早々に摘んだのも、彼女に嘘を吹き込んだのも、自分と彼女の距離がこれ以上縮まって欲しくないからだろう。

「私は一月以上前に、その話を断っている」
「え? で、でも⋯⋯」
「⋯⋯ならば、私が嘘を?」

 吐くだろうか。額に汗を浮かばせて、必死に腕を突っ張っているこの侠が。

「⋯⋯よく⋯⋯分かりません、けど⋯⋯でも、どうして? 兄嫁さまは美しい方と聞きました。断る理由もないでしょう」
「趙範の兄も趙性だ、同性婚になる。それに⋯⋯」

 わずかに首を傾げた彼女に、趙雲は眉を潜めて続けた。

「私は、彼がどうもな⋯⋯」

 どこか信用ならない侠だと勘が告げている。ますます難しい顔になった趙雲を玉兎は困惑したまま見上げるしか出来なかった。

「ともかく、そういうことだ」

 何がどういうことなのか分からないが、彼は言いながら顔を下げてきた。あまりに急すぎて答えを出せず、玉兎は反射的に押し返そうとし──

「⋯⋯玉兎」

 拒絶の素振りを見せた瞬間、恐ろしいほど声が低くなり、刺激してはいけない何かを刺激したのだと悟る。だがもう遅かった。

「いやっ⋯⋯」

 趙雲は小さな悲鳴を無視した。まるで抑えが利かない。自分ではない自分に支配されたまま、細い首筋に鼻をうずめると、汗に混じって女の匂いがした。頭の後ろがカッカと熱い。ひどく眩暈がする。音が鳴るほどきつく肌を吸えば、玉兎は大袈裟にびくついて細い悲鳴を上げた。

 そこから先は⋯⋯思い出せない。

 気付いたときには、玉兎は幹に縋るようにしてへたり込んでいた。剥き出しのやわな肌から、血と、青臭い精の匂いがする。自分の仕出かしたことを目の当たりにしても、趙雲は存外冷静だった。水場を探して手拭いを濡らし、玉兎の身体を清めてやると、いつの間にか離れていた飛影閃の背に乗せてやる。時折、玉兎の引き攣った呼気がするだけで、二人は終始無言だった。







 玉兎を伴って哨戒に出た趙雲が、いつもより随分と遅く戻ってきた。腕の立つ二人なので心配はしていなかった公孫瓚だったが、現れた趙雲の様子がおかしい。何かあったかと公孫瓚が口を開く前に、趙雲のほうが視線を上げた。

「公孫瓚将軍」

 その声は熱に揺らめくようだ。どうも、やたら興奮しているらしい趙雲に、公孫瓚は少し気圧された。

「あ、ああ、どうした。お前、妙に殺気立って、何かあったのか?」
「ありました。玉兎のことで、少し」
「一体どうしたというんだ? お前ほどの侠がそう気を昂ぶらせるなど⋯⋯」
「私は彼女を手篭めにしました」
「なんて?」
「ですから、私は彼女を手篭めにしました」

 思わず聞き返した公孫瓚は、繰り返された言葉にどう反応すればいいのか分からなかった。頭の中で「冗談⋯⋯だよな?」と自問し「この侠がこんな下卑たタチの悪い冗談を言うわけがないだろう」と自答する。公孫瓚は卓に肘を付き、組んだ指に額を乗せて、かなり長いこと考え込んでいたが、やがてのたのたと顔を上げた。

「お前⋯⋯それは⋯⋯事実なのか」
「私がこのような冗談を言うとでも?」

 だよなあ、と頷く。だが、下卑ててもタチが悪くてもいいから冗談であってほしかった。

「⋯⋯お前、俺にどうしろって言うんだ⋯⋯」

 自白があった以上何かしらの処罰を与えねば示しがつかないし、公孫瓚の性格上、見て見ぬ振りはできない。玉兎には悪いが、何故、黙っていてくれなかったのか。

「処罰を」

 趙雲は一言で答えた。が、そんなこと出来るわけがない。騎馬隊隊長の趙雲は白馬陣の要だ。兵からも慕われている彼が処罰を受けるとなると、それがどんなものであれ少なからず士気にも関わる。公孫瓚にとっても、彼は配下である前に、死線を共に潜り抜けた仲間で、無二の友だ。そこまで分かっているくせに、しゃあしゃあと言ってのけた趙雲に、公孫瓚はふたたび頭を抱えた。

「⋯⋯このことは、他に誰か知っているのか」
「いえ、おそらく、まだ誰も」
「ならば他言は無用──いいか、これは命令だ。決して、誰にも漏らすな」
「⋯⋯どちらへ?」

 言いながら席を立った公孫瓚を、趙雲は訝しげに窺った。

「玉兎に会ってくる。お前の言葉が真実かどうか、確かめなければならん」
「では、私が嘘を?」
「⋯⋯そうであってほしいと思っている俺の気持ちを、少しは分かれ」

 趙雲を部屋に置いたまま、公孫瓚は廊下を行きながらまた鬱々と考え込んでいた。
 趙雲は全て覚悟の上なのだろう。だからこそ自白し、進んで罰を受けようとしている。その誠意から、彼がどれほど玉兎に本気であるか痛いくらいに分かった。あの侠にさえ抑え難い情念だったのだ、きっと命を賭した想いに違いない。ならば、将軍として、また友として、その覚悟に応えてやらねばならないということも分かっている。分かってはいるが、はいそうですかとすぐに納得できるものではない。
 勝手に覚悟を決めて、勝手に突っ走って。少しでも相談してくれていれば、良いように取り計らうこともできたかもしれないのに。まったく、若い恋心とは如何様にも御せないものだ。

 趙雲の仕出かしたことを丸く収める。──手がないわけではない。だが、それは玉兎に無理を強いることになるかもしれない。何故、どうして、黙っていてくれなかったのか。憤りに足音も荒くなる。彼女の部屋の戸の前で、公孫瓚は一度、深呼吸した。

「玉兎、少し聞きたいことが⋯⋯」

 声を掛けて戸を開き、顔を突っ込んだ公孫瓚は、気配がないことに首を傾げた。趙雲の言葉が事実なら、きっと部屋で休んでいるに違いないと思ったのだが⋯⋯。僅かな間そのまま考えた公孫瓚は、すぐに踵を返した。部屋にいないのであれば、彼女の行く先は一つしかない。
 その唯一の心当たりである厩へ向かうと、なにやら妙に騒がしかった。馬達がやたらに嘶き、興奮して壁を蹴る音までしている。慌てて駆け込むと、趙雲が仁王立ちしていた。手にした得物の切っ先が、奥で蹲る玉兎に──正確には彼女を抱え込んでいる侠に向いている。
 公孫瓚は趙雲の姿に、一瞬だが誤魔化しようもなく怯んだ。
 呂布にも劣らぬ覇気⋯⋯いや、殺気だ、これは。爛々とした瞳は、その手にした槍より鋭く侠を貫いている。

「玉兎を放せ、趙範⋯⋯」
「女を手篭めにするような下賎の輩に命令される謂れは⋯⋯」

 抑えきれない殺気に燻る趙雲の言葉に、趙範は果敢にも言い返した。さすがに声が震えていたが、公孫瓚はこの状況にも関わらず暢気にも、見上げた勇気だなと感心してしまう。感心しているあいだに、玉兎が身じろいだ。

「わたしは手篭めになど⋯⋯!」

 肩を抱く侠の腕から逃れようとしているが、力が入らないのか抵抗は弱々しい。

「お前たち、これは一体どういうことだ」

 とにかく今は場を収めねば血を見る羽目になりそうだ。我に返った公孫瓚が訊ねると、いち早く趙範が口を開いた。

「私はただ、彼女の手当てを⋯⋯。それよりも公孫瓚将軍。この侠は、長沙の姫君を手篭めに──」

 続く言葉は玉兎の拳で遮られた。強かに殴り飛ばされた趙範は壁にぶつかり、よろよろと座り込んだ。

「虎の牙と呼ばれるこのわたしを愚弄するつもりか? 手篭めになどされてはいない!!」

 それは厩を揺るがすような怒号だった。あれだけ騒いでいた馬たちも大人しくなるほどの気配を纏ったその姿はとても手篭めにされたようには見えない。怒りに身体の具合も忘れたのか、すでに立ち上がった彼女は腰を落として今にも仕掛けそうな気配だった。

「な、なにを言います、貴方は確かに⋯⋯」

 しかし、それでもまだ言い募る趙範に、玉兎がとうとう小刀を抜いた。

「わたしは、っわたしは、趙雲さまのお気持ちに応えただけだ!! 手篭めになどされてない!!」

 悲痛ささえ混じった叫びに、絶句したのは趙範だけではなかった。趙雲も呆気に取られたように、穂先を降ろしている。静まり返った厩の中、最初に動いたのは公孫瓚だった。

「趙雲」
「、っは」
「お前と玉兎の認識には些か食い違いがあるようだ。二人でよく話し合い、改めて私のところへ来い」
「⋯⋯御意」

 頭を下げた彼に一つ頷き、趙範を抱え起こして厩から去ろうとした公孫瓚は、思い立って振り返った。

「報告は今日でなくて構わない。なんなら明日も休みをやるから、よくよく──互いに腹を割って、よくよく話し合うんだぞ。⋯⋯玉兎、お前もだぞ」
「⋯⋯はい」

 彼女もきちんと頷いたのを認めると、公孫瓚は腰を抜かしている趙範を引き摺って、今度こそ厩を去った。あとは二人に⋯⋯いや、趙雲の甲斐性に任せよう。誠実な侠だから、しっかり向き合って、きっと上手くやるに違いない。
 確信めいた予想に公孫瓚は安堵の息をつき、当て馬を演じただけになってしまった侠を少々哀れに思いつつも引き上げていった。






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