「おい、BP-115。お前にゃ言っておかなきゃならねえことがある。耳かっぽじってよぉく聞きやがれ。
 いいか、おい、猫ってのはなァ、我が儘で気紛れでコッチがどんだけ心を砕いてやっても、そんなもん知ったこっちゃねえっつう薄情な生き物なんだよ。しかも忙しいときに限って構えなんてせがんで、全く空気が読めねえとくる。ちぃと腹見せてやりゃあ人間なんかイチコロなんて思ってる、そういう鼻持ちならねえやつらなんだよ! いいか、お前、騙されてんじゃねえぞ!
 その点、犬は主人の言うことをよぉーっく聞くし、尽くすし、勇敢でしかも忠実、絶対裏切らねえ。忠犬ハチ公を見ろ! あんな芸当、猫には出来ねえ! 絶対にだ!!
 いいか! 猫なんかより犬のほうが絶対に、ぜっっっっったいに!! お前の最良のパートナーなんだよ!! 分かったか!! 分かったんなら、今、お前のやるべきことも分かってんだろう!!!」

 膝に乗りかかって絶叫したシャドウ丸を見下ろし、BP-115は溜め息を吐いた。
 うるにゃんに心を傾けたのがそこまで気に食わなかったのか。普段、断固拒否する『犬』扱いを自ら口にするほどに。

「シャドウ丸って馬鹿よね」
「テメエ⋯⋯!!」

 胸部パーツに思いっきり噛み付いてきたシャドウ丸の首に腕を回し、BP-115はその身体をこれでもかと撫で回してやった。
 確かに、うるにゃんは小さくてふわふわで賢くて、とても魅力的な“友人”だ。だが彼はあくまでも友人であって、“恋人”のシャドウ丸と同じ土俵には立てない。
 切っても切れない、血よりもなお赤く、そして濃い、これ以上なく強い繋がりが、自分たちにはある。分かっているくせに、絶叫するほど妬いて寂しがるシャドウ丸が可愛くて仕方なかった。

「わたしにとって、四つ足の一番はシャドウ丸、あなただって分かってるでしょう?」
「⋯⋯だったらもっと撫でやがれ」
「はいはい、寂しがり屋の狼さん」

 ブンブン振られ始めた尻尾に、BP-115は胸の奥がきゅうっとなって苦しくなった。うるにゃんの小さな肉球に感じたのとよく似た気持ちだ。
 BP-115はそれが何か理解できたような気がした。たぶん、これが、いわゆる一つの──

「萌え⋯⋯」

 呟いて、BP-115は鼻先を擦り寄せてくるシャドウ丸の額に唇を押し付けた。




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