「なまえ、これ見てくれ」

 レノックスから渡された数枚の写真に、なまえは首を傾げた。オプティマスと同じ形、ファイヤーパターンまで全く同じトラックの写ったものだ。

「これがどしたの?」
「それ、一枚だけオプティマスなんだが……分かるか?」

 にやにやと子供っぽく笑うレノックスと、どこか苦笑に近いものを浮かべるエップス。怪訝な表情になりつつも、なまえは写真をもう一度見た。

「……ほんとにオプティマスいるの?」

 マジマジと見比べるが、どれも違う気がする。オプティマスと思えない。

「いるんだよ。一枚だけだが」

 レノックスに重ねて言われるも、なまえは静かに首を横に振った。

「これ、ぜんぶ、オプティマスじゃないよ」
「なんでだああああ!!」

 いきなり叫んだレノックスに、なまえは少し怯えた表情を見せた。エップスが肩を竦め、今度は呆れを含んだ笑みを浮かべる。

「レノックスも、アイアンハイドでおんなじ引っ掛け問題をやられてな。見事に外したんだが……」
「なんでだ? なんでだよ? 俺と何が違うってんだ? 俺だってアイアンハイドを愛してるのに!!」
「愛してるはともかく、お前、なんで分かるんだ? 俺も写真だと全然だぞ」
「え〜……ん〜…………」

 ひとしきり唸ってから、なまえはあっけらかんと答えた。

「わかんない」
「そっか〜分かんないか〜」

 エップスはもうどうでもよくなりつつあった。オールスパークの力を持っているからではない、ということは分かっている。となればレノックスの言うように、愛なのだろう。もうそういうことでいい。

「やっぱり愛か? 愛なのか? お前がオプティマスを愛してるのは俺も知ってるが、俺だってお前に負けないくらいアイアンハイドを愛してるんだぞ? 愛は愛でもブラザーに対する愛じゃだめってことか? それって不公平じゃないか?」
「精進あるのみってことでしょ」

 まくしたてるレノックスに、エップスは溜め息を吐きながら答えた。なまえはというと──たまたまその場に姿を見せたオプティマスに、子犬のように駆け寄ってキスをねだっているところだった。



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