「名前さんこっちっス!」
タイミング良く桃城が手を挙げてくれたので、居場所があることにホッとして着席してハタと気付く。どうやら一年生の中でも人懐こい選手が集まるテーブルだったようで、桃城、鳳、切原がそれぞれ笑顔で出迎えてくれた。
「また不思議なメンツだね」
「幸村部長が決めたんすけど、名前先輩が来てくれたんで文句ナシっス!」
「アハハ、最初は切原も嫌々だったんですよ」
普段は合宿中の食事について特に席順など決めていないようだが、どうしても学校毎に固まってしまうそうで、たまにこうやって部長格が指示する事があるそうな。
しかし一年生と言っても、例えば桃城と海堂のように個がぶつかり合ってしまう選手もいるので、今回は元気そうなグループと静かそうなグループに分けたのだろう。ナイスだ幸村。
「そうだ名前さん!後で一緒に写メ撮ってもらってもいいすか?」
「ああ?!どうして先輩がテメーと写真なんか撮る必要があんだよ!」
「越前のやつがうるさいんだよ」
「は?なんでそこであのチビが出てくんの」
「ね!名前さんいいでしょ?」
桃城が越前に対し、私が合宿に来ていることを伝えたら、証拠を送れと言ってきたそうで。桃城信用ないな。
写真を撮ることは吝かではないのだが、うら若き男子高校生と同じフレームに写っていいものか思案すれば、何故か私の代わりに切原が反論する。長太郎はその様子を微笑ましそうにニコニコと見守っているだけなので、私が仲裁に入る必要がありそうだ。
「減るもんじゃないからいいけど、私がリョーマに直接連絡入れておこうか?」
「ゲッ、先輩あのチビと知り合いなんすか?どういうことっすか?!」
「それは――」
「それはヒミツです!そうだよね桃城!」
この前の日曜日に東京で出会った話をしようと思ったら、今まで見守っていただけの長太郎が割って入り、秘密だ、とニコリと笑った。同意を求められた桃城も、そっす!と元気良く返す。
当然それが面白くない切原は、ムスっと二人を睨みつける。そんな彼が可愛くて、なんだか構ってやりたくなった。
「じゃあ切原も私となにか秘密を作ろう?」
「えっまじすか!」
それはそれは嬉しそうにパアアと表情を輝かせた切原に、桃城と長太郎はやれやれと顔を見合わせ笑った。
「とりあえず幸村が怖いから早く食べちゃおうか」
「――ゲッ!」
この可愛い後輩とどんな秘密を作ろうかと思案する姿勢に入れば、横のテーブルから凄まじい視線を感じる。チラリと確認するとニコニコと笑っている幸村が目に入って、胸の内側がヒヤリとするので食べることに集中しよう。
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夕食の後は桃城と写真を撮って、そのまま自室へ帰った。お風呂から上がるとリョーマからメッセージが来ていた(合宿に来れなかった事に不貞腐れている)ので返信していると、切原からもメッセージが来ている事に気付く。
『先輩がさっき言ってた秘密ってどんなことすか?』
そういえばどんな秘密にするか決めていなかったな。可愛い後輩かつ青春を分かち合う仲間なので、適当なことは言いたくない。せっかく共有する秘密なのだ、しっかりしたものがいい。
『実はまだ決めてないの。一緒に考えよう』
正直に返信をする。
それにこういった事は一人で考えるよりも、最初から一緒になって考えたほうが絆が深まりそうだ。うわあ、どうしよう、これすごく青春してる。
それから暫くしても切原からの返信が来なかったので、明日の事も考えて早々にベッドインした。そうして直ぐにスマートフォンからメッセージを知らせる通知音が鳴る。
『俺いいこと思いついたんで明後日の放課後あけといてください!』
明後日といえば月曜日。合宿明けなので休息を取るために部活動は休みだと幸村が言っていたな、そんな事を思い出しながら睡魔に襲われるまま意識を手放した。
合宿二日目終わってしまった
20190625 お肉