確かなこと
今日から高校生だ。
三年間通うことになる四天宝寺高校は、ほとんどの人間が四天宝寺中学からそのまま上がってくる。俺もその中の一人だ。テニス部の連中もみんないる。
そんな変わり映えのしない顔触れの中で一人だけやたら綺麗な雰囲気を纏った女子がいて、そいつが偶然にも隣の席だったから嬉々として話しかける。
ど、どど、童貞ちゃうわ!
「隣の席やんな?忍足謙也言います、よろしゅうな!」
「苗字名前です、よろしくね」
話を聞いてみたら親の転勤でいきなり大阪引っ越してきて、友達作れるか不安だったらしい。だから俺がこの子の一番の友達になろうと思った。
「俺従兄弟おんねんけど、そいつと被るから名前で呼んでくれへん?ちゃ、ちゃうで!他意があるんちゃうからな!」
「ふふっ、じゃあ謙也?」
中学の頃から名前で呼ばれるのが当たり前だったから、忍足って呼ばれるのがむず痒くなっただけだ。本当にそれだけだ。多分。
はにかみながら首を傾げて謙也?なんて言われたらちょっと変な気分になるのは許してほしい。
「ケンヤ?うーん、なんか慣れないね」
「中学ん頃の男友達どう呼んどったん?」
「ちゃん付け」
「おーそれでもええで」
「本当!じゃあ謙ちゃんにする!」
「ほなら俺も名前ちゃんって呼ぶわ」
「やったー仲良しっぽい!」
「アホ、ぽいやのうて仲良うすんねんで」
大阪だとちゃん付けでも別におかしい事はない。けれど彼女に、名前ちゃんにそう呼ばれると心が溶かされていくような、そんな感じがした。
俺の苦悩の毎日が始まる。
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201905 お肉