ドフラミンゴとジェルマ姫
幼い頃から私は誰からにも好かれる体質を持っていた。人間はもちろん動物にも好かれる。家族にも溢れんばかりの愛情を注いでもらった。今思えばそれが運の尽きだったのかもしれない。
私は8年前にドレスローザの国王、ドンキホーテ・ドフラミンゴに攫われたのだ。どういう事かジェルマ王国の王女だった私は今現在ドレスローザの王女へと転身している。王女から王女へ、なんて前世どれだけいい事をしたらなれるのだろうか。
攫われたのは散歩中。こっそり抜け出して一人で散歩をしていたところだ。それも運悪く兄や姉達が任務で出払っていた時突然起こったのだ。何が起こったのかもわからないまま突然身体を持ち上げられた私は数秒後には空を飛んでいた。もちろん私を連れ去った張本人の若さまに抱えられて。
「フッフッフッ!!”傾城の美姫”とはよく言ったモンだ」
当時9歳だった私は若さまにそう言われた時、一体何のことだかわからなかったがどうやら私は”傾城の美姫”と呼ばれているらしい。アマゾンリリーの海賊女帝、ボア・ハンコック。魚人島の王女しらほし姫。絶世の美女と謳われるその二人を合わせて世界三大美女と呼ばれていると知ったのはつい最近の事だった。
そんな私は今、ある一枚の手配書を見ていた。
「フッフッフッ!!いつまでその手配書を見てるつもりだ?」
「あ、若さま若さま!この人私のお兄様なんだよ!」
いつの間にか後ろにいた若さまにピラッと手配書を見せて笑いかけると例のごとく頭を撫でられた。前代未聞の大事件を次々に引き起こす一味として世界政府から強く警戒されている麦わらの一味のコック、黒足のサンジ。それが私の兄だとお兄様に聞いたことがある。出来損ないの弟だったとよく聞かされていたが、それがよく分からなかった。聞く限りではサンジお兄様は兄達と違い心の優しい持ち主だった為、私はとにかくそのサンジお兄様に一度会ってみたかった。
「んん?オイこいつは麦わらの一味じゃねェか」
「あれ?ディアマンテも知ってたんだね」
「ウハハハ!馬鹿野郎、お前が知ってておれが知らねェ訳があるか。ーーところでドフィ、まだコイツに話してねェのか」
「ああ、そうだな。忘れてたよ」
若さまはお兄様の手配書を見ると笑みを深めた。
「フフフ!フッフッフッ!!だが話すのはもう少し後でいい」
ディアマンテと話す若さまの声が聞こえない。何を話しているのか気になって見上げていると若さまと目が合った。
「例え兄だろうと関係ねェ。どんな手を使ってでも逃さねェさ」
「その通りだ。しかしドフィにそこまで言わせるとはさすが”傾城の美姫”!ウハハハ!!」
「見ての通りこのザマだ。このおれともあろうもんがすっかり傾けられちまったよ」
「仕方ねェさ、何しろ”傾城”だ」
ディアマンテと若さまが私を見下ろす。話は終わったらしく、私はひょいと若さまに抱えられて王宮に入った。これが私の日常。近い未来、この日常に変化が訪れるなど、この時の私は知る由もなかった。
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