嗚呼、この世は無情なり


私の住む街には、名物と呼ばれている人間が複数人存在している。その中に、私と同い年である松野家の六つ子が含まれていたし、今でも含まれている。
この六つ子は問題児で、小学生の頃が特に酷かった。彼らが問題を起こすたびに先生方は走り回っていたし、それに巻き込まれた生徒も数知れない。
現に、座ろうとしたところに椅子を引かれ、床に尻を思い切り打ち付けて呆然とする私を指さし、パンツが丸見えだったと大笑いした六つ子の1人がいたことはしっかり覚えている。私の椅子を引いた張本人は、驚きと痛みと腹立たしさと恥ずかしさから大泣きした私により、クラスの女子全員から罵詈雑言の集中攻撃を食らった。ざまあみろ。

閑話休題。

兎にも角にも、度を超えた悪戯は人を寄せ付けなくなった。彼らとよく交流していた少数の同級生は変わらず仲良くしていたみたいだが、他の生徒たちは遠巻きにそれを見ている状態だった。中学生になり、他の小学から来た者は最初のうちはやいのやいのと囃し立てていたが、暫く続くと少しづつ離れていった。
六つ子たちも成長したのか、中学を卒業する頃には6人揃わない限り大きな問題は起こさないようにはなっていたが、いかんせん昔のイメージが強かった。
そして今日。高校の入学式。
私は今、同じ小学中学だった同級生たちと一緒に職員室に呼び出されている。

「松野くんたちを知ってるよね?六つ子の。みんなの中学校の先生から連絡をもらっててね、ほら、あの子たちすごいと聞いていて。先生たちだけで対応するのは難しそうだから協力してもらいたいの」

私が住んでいるところは決して田舎ではない。むしろ都会の部類だ。電車一本で通える学校ならば腐るほどある。
少し前の私を全力で殴りたい。なんで近いからってこの高校を選んだ。大人しく先生に勧められた高校に行っていれば。
親戚一同が一度に死に絶えた通夜のような雰囲気の中、私たちは聞きたくもない先生の言葉をただひたすら俯きながら聞いていた。
この世は無情である。
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