煙草を吹かしながら、空を見る。雄英体育祭、取材に来るのは何度目だろうか。



こんな大それた体育祭必要かと思いながらも、生活を送る上で必要不可欠な金の成る木達が沢山いた。
将来あの中から一体何人と関わりを持つことが出来るだろうか。小さな種達の未来に思いを馳せながら、深く煙を吸い込んだ。

「あ、」

競技が終り、生徒達が昼食に向かい閑散とした生徒用ゲートの向こう側。
すぐにでも刈れそうな木を見つけた。少しくすんでしまった色の黒髪、どこか愁い気に遠くを見つめる横顔。
以前見たものよりも窶れているように見えた。そのせいだろうか、その存在は儚げに、目を離せば今にも消えてしまいそうな気配がある。




俺は、ここにはいる筈のない男に声を掛けた。



「赤格子時雨さん」


俺の言葉に足を止めた男は、静かに振り返る。
一瞬、音の消えた。赤格子時雨の眼に俺が映る。赤格子夕霧とよく似た眼差し、警戒とは違う。
静観を極めた瞳だ。よく似た親子だと思った。



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