その日私は縁結びで有名な神社に出向いていた。
出張で来たこの神社は、日本でも随一の縁結びのご利益ありあり神社なのだ。
今月は特別な一ヶ月であり、平日にも関わらず人が割といる。
弊社は来年のこの月に開催されるイベントの協賛として参加することになり、今回私がわざわざこの地に足を運ぶことになったのだ。
電車は当たり前に各駅停車なのでゆっくり進んでいく。
転勤族だった私は過去にこの県に住んでいたことがあったらしい。
今では全く記憶がないが、なんだか勝手に懐かしい気持ちになっていた。
都会の喧騒、繁忙期だった先月の激務、そして先月別れた彼氏のすべてを、車窓から見える長閑な景色が忘れさせてくれる。
駅について、風が吹くと少し寒さを感じる。
私は一人商店街を歩きながら、何を食べようか物色していた。
空が広くて空気が美味しい。
ゆっくりと参道を歩いていく。
大きな神社には池だったり橋だったりちょっとした庭があったりでワクワクする。
長い参道が終わるとようやく本殿が見えてきた。
しっかりお参りして、願いを心の中で沢山唱えておいた。
本殿の奥にも足を運んで、神々のお家を見て回る。
私も一軒家じゃなくていいから誰かと住みたいよ……
いや、うまくいけば正式に住めるはずだったんだ。
元彼とは5年付き合った。
正直もう結婚すると思っていた。
同棲もしていたし、結婚はお互いのタイミングだけだと思っていた。
だが現実は厳しかった。
元彼に好きな女ができたのだ。
土下座して謝る元彼に対して憐れみすら感じた。
人を拳で殴ったのは初めてだった。
案外こちらもダメージを受けるんだなと、初めて知った。
一発では物足りなかったので何回か殴った。
今ぐらいしか人を合法的に殴れる時なんてないのだから沢山殴っておこうとか、良くない考えすらあった。
気が済むまで殴ると自分の拳からも血が出ていたので思わず笑ったのを覚えている。
元彼が怯えた表情をしていたのも相まって、相当笑ったと思う。
共同の貯金と家具家電をぶんどって、私はまた一人暮らしに戻ったのだった。
神話というものを軽く勉強してきてはいたが、知らない話が沢山ある。
中々面白い話も多く、仕事の一環とはいえ単純に楽しんでいた。
色々と思考を巡らせていると授与所に来てしまった。
ここはもう縁結びのお守りを買うしかない。
あとは開運と、あとは身につけられるお守りもほしい。
「4000円のお納めになります」
そう言われて私は気づいた。
やばい、現金ない。
カードの表示もなさそうだし絶対現金払いだ。
お賽銭でたくさん小銭も使ったのでもう3円しかない。
どうしたもんか。
ここは断って一回戻ろう。
いやしかし罰当たりか?
「これもいっしょにお願いします」
横からすっと手が伸びてきて、購入予定であるお守りの色違いがそこに追加された。
そして1万円札が巫女さんの手に渡った。
唐突な出来事に全く理解が追いつかず、やっと頭が回転し始めたのはお守り達が自分の手に乗せられた時だった。
「すみません、なんとお礼をすればよいのか……」
「気にしないでください。困った人がいればお互い様ですから」
救世主の正体は背の高いイケメンだった。
顔が綺麗すぎるだけでなく心も美しいときた。
顔から後光が差して見える。
この世は不公平すぎないか?
こっちは振られた男を拳で殴って高笑いするような女だぞ?
近くの郵便局にお金をおろしにいくまで、世間話をすることになった。
彼は花沢勇作さんという、名前すらも素敵な男性であった。
同い年ということもわかり、人間であるということ以外に共通点があることに驚いた。
彼も出張でこちらに来ているらしく、これまた偶然であった。
郵便局につき、丁重にお金を渡す。
この人がいなければ私は今頃どうなっていたことか……
「……もしよろしければなのですが、このまま一緒に街を巡っていただけませんか?」
「え?!」
「すみません!出過ぎた真似を……お金は頂戴しましたので、」
「いや違うんです!私は全然いいんですけど、びっくりしただけで、あの、全然こちらこそよろしくお願いします」
私は思わず頭を垂れた。
花沢さんは端正な顔を更に端正にした笑顔を私に向けた。
恐ろしいよこの人……生きてるだけで眩しい……
「え、じゃあ花沢さんも?」
「はい、実のところ私達は今年も出資させて頂いています。来年ゆうこさんもいらっしゃるとなれば、更に盛り上がりますね」
「いやいや、私はただの末端社員ですから……」
「ゆうこさん、すごく勉強されていますよね。イベントまで1年あるというのに素晴らしいと思いますよ」
「いやー褒められると照れますね」
悪い気はしない。
花沢さんは海鮮丼を食べている姿すら絵になる。
割と煩雑なところだが、花沢さんの周りだけ高級レストランのような雰囲気だ。
周りの人も何だあのひとは……という感じで見てくる。
みなさん、私も同じ気持ちです。
ちなみに海鮮丼は前払いだったのだが、カードでまとめて払われてしまった。
要らないと言われたけれど気が収まらないので、花沢さんのズボンのポケットに千円札を捩じ込んだ。
花沢さんは毎年イベントに参加されていることもあり、神話についてはかなりお詳しかった。
私も勉強しなければ……
面白かった本や文献を聞いておいた。
花沢さんは知識もあるし、変な冗談を言っても通じるので楽しかった。
教養が深いんだろうな。
町めぐりを終えた後、お互い翌日も休養日とのことだったのでご飯へ行くことになった。
また電車を乗り継いで、市内へ戻った。
車内で爆睡してしまって花沢さんの肩を借りてしまった。
起きた瞬間申し訳なさすぎて、体が勝手に土下座しようとしていた。
花沢さんの素敵な香りが髪に移っていたので、なんだか有難かった。
地元の食材が食べられるようなお店に二人で入った。
なんだか隣りにいるのが私で申し訳ないな普通に。
平日ではあるが、中々に人が入っていた。
店に入った瞬間に店員さんが花沢さんを見上げて呆然としていた。
その気持ち、わかります。
美味しい海鮮には地酒が合う。
少し辛口で、体に染み渡る。
「花沢さんはお酒強いですか?」
「人並みですよ。付き合いで口にする程度ですね」
その割に割普通に飲んでいるのは気の所為であろうか……
美しい存在はそれだけで酒の肴になる。
日本酒は得意なのでかなり飲んだと思う。
店にあった日本酒を一通り飲んだ時にはだいぶ酔いが回っていた。
気になっていたがわざわざ聞くほどでもないような質問が沢山口をついて出てくる。
「そういえば花沢さんって恋人とかいないんですか?彼女さんとか彼氏さんいるなら私今結構よくない感じかなって思いますけど」
「いませんよ。ゆうこさんはいらっしゃいますか?」
「……それが……聞いてくださいよ花沢さん!!!」
その時すでに私は怒りで涙目になっていた。
元カレとのすったもんだを離し終わったときにはもう泣いていたと思う。
これは悲しいとかではなく純粋な怒りだ。
「すみません、本当にマジで申し訳ない。こんな話して、ネタにしてください。私マジでこっから一人でガチ自立してくんで」
「ゆうこさんはもう安心して大丈夫ですからね」
「水、貰っていっすか…」
「こちらどうぞどうぞ」
「花沢さん彼女さんとかマジで大切にしないとだめですからね。法律がなければ私あいつのこと殺してるし、本気で」
「私は結婚する方としかお付き合いしませんから大丈夫ですよ」
「ってか花沢さんいい人紹介してくださいよ、、ここで会うなんてもう運命みたいなもんですからお願いしますよ、なるべく優しい人で、ギャンブルしない奴で……」
あとはちゃんと仕事してて、
でも花沢さんの紹介ならまともそうだし大丈夫ですね
顔はそんなえり好みしないんで生理的に無理じゃなければ大丈夫です
目を開けたら多分朝だった。
昨日の朝見た天井と同じ天井だった。
どうやら私は何とかホテルに戻って来たらしい。
スマホもしっかり充電してあったので自分を褒めることにした。
携帯を見れば優作さんからメッセージが来ていた。
言葉遣いも美しいのかと、私は朝から感心していた。
本日はとにかくまた街を歩きまくる予定しかなかったので、私はモーニングでも食べに行こうかと準備をする。
小さな商店街に入って、事前に調べておいたお店に入る。
クロックムッシュが美味しくて評価がかなり高いお店だ。
この店もお祭りのときには出店を出しているので、ついでに話ができたらなんて思惑もある。
ガラス張りのお店に入れば、カウンターには見知った顔があった。
「ゆうこさん!」
花沢さんがそこにはいて、店員さんと話をしている最中のようであった。
眩しい笑顔を私に向けて、手を上げて挨拶してくれている。
泥酔姿をこの人に見せてしまった罪悪感と申し訳無さが一気に頭を駆け巡った。
気まずい……!
そんな私のことなどつゆも知らず、店員さんが花沢さんの隣まで案内してくれた。
「ゆうこさん、またすぐにお会いできるなんて嬉しいです」
「いや、ホントに、昨日なにか粗相がありましたらすみませんでした」
席に付く前に一旦土下座をしようと思ったが、花沢さんが慌てたように止めてきた。
私もちゃんと席に座ると、隣の席のクロックムッシュが目に入った。
おいしそう……
「美味しそうですよね」
心の声が漏れていたようだ。
私も同じメニューを頼ませていただいた。
花沢さんとお話している女性はここのオーナーだったはずだ。
これはもう花沢さんに惚れているだろう、という目をしている。
二人の会話に私も混ぜていただいて、お祭りについて話を聞いた。
優作さんはここの担当についてから、何回かプライベートでもこの地域に来ているようで、地域の方からは王子様扱いされているらしい。
もうずっとこのプロジェクトに参加してほしいわよ〜とオーナー女性が言っている。
今日の夕方からの地域の集まりがあるようで、私も一緒にどうかと誘ってくれた。
オーナーも花沢さんの紹介なら大丈夫ね、などと言っている。
地域の有力者や実際の関係者に会えるというのは、私にとってはこれ以上ない収穫だ。
報告書に書くことが多すぎてありがたい悲鳴を上げそうになる。
でもなんか、トントン拍子すぎないか……?
事故に遭ったりしないか心配になってきた。
出来上がったクロックムッシュを頬張れば、その美味しさに口角が上がりまくる。
美味しいですね!卵はどこ産なんですか、パンは……などと聞けばオーナーが色々と教えてくれた。
パンは近くのお店のものを使っていて、その他もこの地域のものを使っているようで地産地消を心がけているとのことだった。
じゃあ明日はそのパン屋に行かなくては……
モーニングを食べ終えれば、次は博物館に行く予定だ。
この地域の成り立ち、歴史を知るにはやはりこの土地の博物館なりに行かないとわからない。
このご時世ネットで色々調べられるが大抵は嘘だ。
花沢さんはどうされるのか聞けば、なんと同じ博物館に行くとのことだった。
「え?!実は私も博物館いこうと思ってて……なんか悪いんで先行ってください。私あとからゆっくり行きますんで」
「ゆうこさんが良ければご一緒させていただけませんか?」
「いや、……私と行ってもなんの学びもないですよ……」
「私はゆうこさんの新しい視点や新鮮な反応を感じたいのですが……ダメでしょうか……」
「うっ……だ、大丈夫です……行きますか……」
なんでそんな顔をするんだ……断った時何かすごく悪いことをしてしまった気分になった。
美形の申し訳なさそうな顔、いい加減にしてくれ。
こちらが土下座したくなる。
博物館までも歩きながら街を見て、広告などの写真を取っていく。
来年これに参加できると思うとワクワクするな……
博物館につけば、館長がいたようで花沢さんを歓迎していた。
この博物館は今年リニューアルされて、展示が変わっているので絶対にチェックしたかったのだ。
花沢さんが館長に私を紹介してくれたので、名刺を渡して挨拶させていただいた。
花沢さんフィルターがかかっているからなのか反応は上々だ、
花沢さんが同行されるのならと、写真を撮ってもよいと許可をいただいた。
撮影不可のところも多いが、それもよいと許可をいただいたのだ。
やっぱり花沢さんと来て正解だったかもしれないな……
博物館はとても勉強になって、知らないこともたくさん学べた。
地域の博物館巡りが結構好きなので、このような訪問も半分趣味みたいな感覚だ。
写真を撮ったり資料を見ていると、花沢さんが時折補足情報をくれたりした。
何時間かそこで過ごしてしまったが、花沢さんは文句も言わずに着いてきた。
なんて聖人なんだ、この人は………
そうしているうちに地域の集まりに出向く時間となったので挨拶をして博物館を後にした。
地域の集まりには地元の有力者や神社関連の方なども来ていて、気を引き締めて臨んだ。
このような田舎にはまだ、日本の嫌な文化が残っている。
女はお酌をして料理を運んで男性の世話をしてやるのが当たり前なのだ。
令和に生きている人間としては滅茶苦茶にしてやりたい気持ちもあるが、社会人としてそのようなことはできない。
花沢さんに一通り紹介していただいてからは、私も地元の女性陣に混じって男性陣の世話焼きに明け暮れた。
これも仕事だ……そう、これも仕事なのだ………
一通りの仕事が終われば、私は女性陣に混じってご飯を摘んだ。
私は一番年下のようで、年上の女性たちに働きぶりを評価してもらえた。
謎に自己肯定感が上がったが、今後毎年これをやる可能性が高いことを考えると少し憂鬱だった。
その後は花沢さんと合流して有力者の話を聞いたりうちの会社のことを説明させてもらったりして過ごした。
会社の飲み会で培った飲み会スキルが役に立ってよかった。
花沢さんはうちの娘を嫁に……などと話をされていて流石だなあと思った。
緊張もあって酒を飲んでも全く酔えなかったので、昨日とは違ってシラフで過ごした。
夜も遅くなり、解散となったため私と花沢さんは一足先に会場を後にした。
「今日は一日本当にありがとうございました。何から何まで都合つけてもらっちゃって……」
「いえいえ、気にしないでください。私こそ今日は一緒に過ごせて楽しかったです」
「いえいえ感謝するのは私の方でして……」
そんなことを話していれば花沢さんのホテルとの分かれ道に来てしまった。
「送りますよ」
「いえいえ、今日は本当にシラフなんで大丈夫です」
「いや、こんな夜遅くに女性を一人で歩かせる訳にはいきませんから」
「紳士ですね……」
花沢さんは意外と頑固だということがこの2日間でわかったので、私はその提案を受けることにした。
その間も他愛もない話をしたり、今日の学びを共有したりしていた。
「私モーニングも博物館も花沢さんと被るなんて思わなくてびっくりしましたよ」
「運命ですね」
「いやいや、偶然が重なっただけですよ……」
などとその時の私は言っていたが、その後あまりにも偶然が重なりすぎてしまうことを私はまだ知らなかった。
まず帰りの飛行機、隣の席が花沢さんだった。
そして1週間後の飲み会で、隣の卓に花沢さんがいた。
さらに3週間後の合コンに、花沢さんがいた。
これまでの人生で関わってこなかった人間が、この1ヶ月ちょっとで私の生活圏に入り込みすぎている。
人はこれを運命と呼ぶのだろうか……?
気になっていたパンケーキ屋さんで、またしても偶然花沢さんと出会ってしまった私は相席しながらそう考えた。
お店の前に着いた時、花沢さんが反対側から現れてお店の前で立ち止まったのだ。
漫画かよ、と流石に思った。
「ゆうこさんと偶然会えるなんて、私は幸せ者です」
「いやいや花沢さん、それは私のセリフでして」
「こんなに偶然会うのなら、今後は一緒に予定を立てて遊びにいきませんか」
それもそうか、確かにそうかもしれない。
最近は店に入ると半分の確率で花沢さんと出会ってしまう。
花沢さんもその度にびっくりされている。
花沢さんの提案を受ければ、花沢さんは笑顔を向けていたので目を逸らした。
眩しすぎるので。
花沢さんとは朝と寝る前の挨拶をしたり、気になっている店や愚痴など、本当に普通に連絡を取り合う仲になっていった。
こんなの普通に友達以上になってしまうな……と私は危惧していた。
気を抜くと好きになってしまいそうなので、花沢さんは友達なのだと、自分に何度も言い聞かせた。
急な雨に降られてコンビニの軒先に入った時、そこに偶然また花沢さんがいらっしゃった。
花沢さんはそれはそれは雨も滴るいい男で、周囲の人間の視線を独り占めしていた。
「ゆうこさん!」
「また遭っちゃいましたね」
「今日は少し憂鬱な一日だったのですが、ゆうこさんと会えたのですごく良い一日になりました」
「え、花沢さんが落ち込むなんて珍しいですね」
「はい……そうなんです。でもこうしてゆうこさんと会えたので憂鬱は吹き飛びました」
今日は他部署の上司に連絡先を聞かれ、明らかに下心があったので死ねと思って苛ついていた。
そこにこの目麗しい花沢さんをお見かけできたので、心が浄化されていた。
花沢さんにはマイナスイオン発生装置が取り付けられているのだと思う。
改めてこの方と連絡を取り合うことができる関係性であることに感謝せざるを得ない。
「そういうこと言うと女性は全員勘違いしますから、発言には気をつけてください」
「……ゆうこさんには勘違いして欲しいのですが」
私はその時初めて花沢さんにキュンとしてしまった。
キュン、というよりギュン、というのに近い。
心臓が鷲掴みされたようにときめいてしまって、もう認めざるを得ないなと観念したのだった。
心臓がうるさく感じるのは、就活の圧迫面接以来だなと思った。
花沢さんは歩道に立ってタクシーを止めると、私の手を引いて飛び乗った。
質問などする間もなくタクシーは走り始めてしまって、どうしたものかと冷静になりかけていた。
「すっと……、すっと貴方のことが好きでした。出会った日から、私には貴方だけなんです」
「え、ああ、えぇ、そうなんですか」
私の腕を掴んだままの手は少し震えていて、花沢さんって緊張とかするんだ……と呑気なことを考えていた。
私を見る瞳は雨のせいか濡れていて、何故だか目が離せなかった。
「私とお付き合いしていただきませんか」
私がそれに頷くと、花沢さんは私をぎゅうぎゅうと抱きしめた。
スマートに見えて意外とガタイいいんだ。
そのまま私は花沢さんの家に連行され、あとはご想像の通りである。
お付き合いは順調すぎて、私はその2年後には勇作さんと結婚することになった。
ご自宅に出向いた時にはあまりのお金持ち具合に卒倒しそうになったが、何とか正気を保った。
幼稚園からのアルバムを見させて頂いていると、そこには見覚えのある顔があった。
「え、私?」
勇作さんは小学校入学まであの私たちが出会った土地に住んでいたらしい。
何とそこで私と勇作さんはすでに出会っていたのだった。
アルバムの中の私たちは手を繋いで身を寄せ合っていて、横に添えられたコメントには「勇作くんはゆうこちゃんと結婚の約束をしたみたいです笑」と書かれている。
なにわろてんねん。
「運命ですね」
と隣で勇作さんが微笑んでいた。
そうかもね、と言うと勇作さんは私の手を強く握った。
これでハッピーエンド?