六月になるといよいよ本格的に暑くなってくる。
俺と天野と藍田は相変わらず一緒に飯食ったりツッコんだりしていた。
一ヵ月前と違うのはその中にもう一人加わったことだ。

「天野!どこまで進めたん?!」
「侑殿〜!四つ目の街までは攻略したでござる」
「は?早ない?!発売日昨日やで?!」
「拙者、稲荷崎のボルトと呼ばれた女なもんで…」
「聞いたことないけど」

侑が自然に俺達の輪に入ってきている。
天野は最初こそ戸惑っていたが、そんな悪い奴じゃないと言い聞かせると普通に接することが出来るようになった。
それより何で古のオタク口調?

「もうすぐインターハイ予選やなあ。応援しに来るやろ?」
「私毎週東京に用事あるからキツイ」
「は?初耳やでそれ」
「そりゃあ言ってなかったから…」

藍田も聞いてないと怒っている。
毎週東京に用事なんて初めて聞いた。
こっから東京行くなんて結構面倒なのに。

「でも角名の応援には来てたやん!」
「あれは各所に無理言って見に来たの」
「なんやそれ!角名ばっかずるいわあ」
「インターハイなら見に行けるからそれでいいじゃん」
「…言うてくれるやん」
「じゃあ予選突破しないと」
「楽しみにしてる。ゆみかは学校のバスで来て」
「当たり前や!置いてく気か!」

それから昼休み終了のチャイムが鳴って、俺達は適当に解散することになった。
まあ俺と天野は隣の席なんだけど。

「毎週末に用事って何?」
「何だと思う?」
「…習い事とか」
「ふっ、まあそういうことにしておこう」
「うわ、気になるやつ」

天野はそう言って意地悪く笑った。
その顔を何故か直視出来なかったことは誰にも言わないでおこう。









「角名くん!一緒にご飯食べへん?」

最近やたらと話し掛けて来る女がいる。
吉田まりのという名前だと侑が教えてくれた。
何やら読者モデルをやっているらしく、校内では有名らしい。
廊下で、学食で、休み時間に、わざわざ俺に話し掛けて来る。

「天野とかと食べるからごめん」
「え〜!いっつも一緒に食べてるんやからいっぺんぐらいええやん」
「女子の誘いを断るつもりかい角名くんよ」

天野が俺をじいっと見て言った。
メガネの奥の瞳が俺を責める。
そりゃあそれは悪いと思ってるけど、天野と藍田と侑と食べる方が面白いんだから仕方ない。

「ささ!吉田さんや!角名を宜しくお願いします!」
「角名!頑張ってきいや!」
「クッソォ!!羨まし過ぎるわ!」

天野は俺の弁当を勝手に吉田に押し付け、藍田は俺に親指を立て、侑は俺に中指を立てていた。
…これはもう行かないと面倒になるやつだ。

「じゃあ一緒に行こか、角名くん」
「…あー、今日だけね」
「楽しみやわあ」

吉田は俺の弁当を持ってにこりと笑った。
これは、俺が吉田に狙われているってことでいいのか…?
勝手に腕を絡められて、俺は内心ため息をついた。


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