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隣の百合がタオルを脱ぐのと同時に男子の目がこちらに集中したのを感じた。
彼女の秘密を知っているのは、今この世界に私だけなのだ。
共通のゲームをしていたから仲良くなったきっかけはソレだったはずだ。
しかしこの女は案外面白かった。
中学までは東京にいたというからどんなもんだと思ったがかなりの自由人だった。
すぐにボケるしやりたい放題だ。
百合の秘密を知ったのはつい最近のことだ。
その日、百合はかなりついていなかった気がする。
まずはどっかの運動部が朝っぱらから百合の眼鏡を吹き飛ばして割ったし。
数学の宿題は違うページをやってきていたし。
転んで膝に内出血を作ってたし。
何かのタイミングで果物の汁が百合の目に入って悶絶していた。
「いてぇ…目が腐る」
「腐らんから安心し」
何度も瞬きをしているうちに百合の目から机の上にポロリと何かが落ちた。
それは黒のカラコンだった。
百合がカラコンをしていること自体知らなかったしビックリした。
しかしビックリしたのはその後だった。
茫然とした百合がこちらを向いた。
そこには透き通るようなヘーゼル色の瞳があった。
どこかで、私はこの目を見たことがある。
そう考えているうちに百合はカラコンをつまんで、鞄からコンタクトケースを取り出して教室から出て行ってしまった。
「あーあ、終わっちゃったよ」
校舎の一番奥、資料室しかないあまり人が寄り付かないトイレから百合の声がしたのが聞こえた。
混乱した安直な馬鹿が行くのは人気のない静かな場所っていうのが相場だ。
「何が終わりなん」
「うぉ?!ゆみか…」
「あんた、何か隠し事しとるんやろ」
「…」
「大体の答えは導き出しとる。あんたの口から言うてみ」
百合はヘーゼル色の瞳をキラキラと輝かせながら口を開いた。
泣きながら告白した彼女を私は責めることなど出来なかった。
「大仏チャレンジしようぜ」
「内容知らんけど名前からしてクソつまらん」
「キレた」
百合はビート版の上に胡坐をかいて体の前で合掌してバランスを取り始めた。
やっぱこいつは馬鹿なのか?
「なんやそれ面白そうやん」
「馬鹿しかいない…」
チャレンジを始めた侑を見た角名が呆れたように呟いた。
「ホンマ馬鹿ばっかやな」
「…天野も侑も朝から騒いで凄いな」
「アホなんやからしゃーないわ」
互いの大仏チャレンジを阻止し始めた二人を見て馬鹿みたいに笑った。
隣の角名も顔を伏せるぐらいには笑っていた。
ピンクのゴーグルの下で笑うヘーゼル色をした瞳がどうか誰にも気付かれませんように。
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