夏休みが始まるとすぐに角名と侑はインターハイ出場のため兵庫を出ることになっていた。
最近は昼飯でさえ一緒に食べられなくてゆみかと二人で寂しい思いをした。
夏休みになってしまうと怒涛のドラマと映画の撮影が始まる。
何時も無理を言っているつけが回って来るのだ。
テストは何とかなったし、あとは詰め込まれた仕事への覚悟を決めるだけだ。

「…インターハイは見に行けるん?」
「びみょいなー。頑張ってみる」
「あんま無理せんように頑張りや」
「おー」

最近は体調を心配してゆみかが必ず弁当のから揚げを一つ分けてくれる。
優しい…好き……

「夏休みのほとんどは東京におるん?」
「親戚の家に居候する」
「ほな私がインターハイ応援しに行った時一緒に東京観光しようや」
「いいねー角名と侑も誘おうぜ」
「天才!楽しみや〜」

それからは東京でどこを観光するかのネットサーフィンが始まった。
やはり、ゆみかに言ってよかった。
あのまま一人で抱えててもつらいだけだった。

「原宿の凄いアイスのとこ行きたいねんけど」
「いいね〜」

彼女と過ごすこの時間が私の癒しなのだ。
高校生なんだし、友達と遊びたい気持ちだってある。
けど今私はまあまあこの世界では危うい立ち位置にいるのだから、これ以上我儘を言う訳にはいかない。

「会えなくても一日一回は私に連絡するんやで?」
「うん」
「ちゃんと三食とって」
「うん」
「ちゃんと寝て」
「うん」
「ほんでちゃんと遊ぶんやで」
「わかったよママ」
「ママちゃうわ!」

ゆみかのつっこみが心地よい。
そんなこんなでもう修了式なのだ。
高校生活、どうなるのか心配だったが何とかなりそうである。
それもこれも角名とゆみかと侑のおかげなのだ。






「あぶね…」
「社長出勤お疲れ様です」

角名と侑がチャイムギリギリに駆け込んできた。
今日もまたバレー部の集まりなんだろう。
角名はこちらを睨んだあと机に突っ伏して寝始めた。
テレビから全校生徒に向けた校長の話が始まった。
…角名が寝てるからつまんねーけどお疲れ様。



とかいいつつ私も意識が浮上した時にはもうすでに終了式は終わっていた。
ふと隣を見ると先生に隠れて角名が私にスマホを向けていた。
睨むと鼻で笑われた。


担任からの話も終わって伸びをしていると隣の奴も同じことをしていた。

「さっき写真撮ったでしょ」
「さあね」
「ちょっとー」
「天野は撮ってないけど下向いてて髪が顔にかかって幽霊みたいな奴は撮れた」
「それ私な」

携帯を奪ってやろうと思ったけど普通に失敗した。
ニヤニヤ見下してくる角名が腹立つ。

「インターハイ終わったら四人で東京観光しようぜ」
「いいね」
「あ、でも侑はな〜人気者だからやっぱ誘うのやめとこっかな〜」
「ちょい待ち!!俺も行く!ハブは泣くで!」
「うわがっついて来た…」
「うるさいの来た…」
「二人とも本気で迷惑そうな顔するのやめーや」

ゆみかも来てから適当に東京観光の計画を立てて、私達はバイバイを言い合った。
あー寂しい。

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