「由奈さん」
「何」
「同じチームになるなんて嬉しいです」
「そうなんだ」

本当に不愛想だな。
いい子ぶって接してる俺が本物の馬鹿みたいだ。

今日はサークル内で交流会という名のレクリエーションが行われている。
至極面倒だ。
でもこのサークルで良い顔しといて悪いことはない。
先輩たちは良い所に就職しているらしいし繋がりを持っておいて損はない。
大学での繋がりがいつか役に立つかもしれない。

というかそもそも人間関係を諦めたようなこの女が割とでかいこのサークルに入っているんだ。
サトリの誘いか?
それともただ単にバスケがしたかったのか。
そんなどうでもいいことすら俺は知らないのだ。

「由奈さんって医学部なんですよね?」
「うん」
「忙しいんですか?」
「それなりに」

俺と由奈さんが話している様子を先輩たちが温かい目で見てくる。
オイ違うぞ。
そういうことじゃねえ。
これじゃあまるで俺が由奈さんを狙っているみたいじゃないか。

「お、ワシもこのチームや」

うわ…今一番会いたくねえ奴が来た。

「由奈も花宮も同じなんや」
「うん。よろしく」
「足引っ張るんやないで〜由奈って意外と鈍くさいからなぁ」
「引っ張んないよ〜でも今吉が同じチームでよかったぁ」

こいつら俺を放って恋人みたいな会話してやがる。
もしかして付き合ってんのか?
それにしても由奈さんの表情やら話し方が急に明るくなった。
もしかして不愛想な方が嘘だったりして。

「由奈にちょっかいかけたらあかんで?花宮」
「かけてませんよ。ただ由奈さんと仲良くしたかっただけですから」

間違いじゃない。
仲良くして、手駒にして、サトリを揺すぶるネタにでもしてやるのさ。

俺を見る由奈さんの目は冷たい。
いや冷たいというよりは、俺を映していなかった。




 

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