「あんたのアキレス腱、溶かしちゃったよ?」

えー、はい。こちら茜。ただいまUSJの山岳ゾーンにてヴィランと交戦なう。耳郎さん、八百万さんと上鳴くんの4人で戦ってます。私の個性は液体固体気体なんでも溶かしたり固めたりわりと自由が効く個性である。でも実践向きではないため相手の足元を溶かしてバランスが崩れ隙が出来た時に拳を入れるしかない。どうしても接近戦になってしまう。相手の治癒機能を停止させ血液を固めて殺すことだって出来る。脳機能を停止させることや心臓を固めて止めてしまったり溶かしたりすることも、出来る。私の個性はその便利さゆえヴィランに渡ればかなりの痛手であろうことは容易に予想出来た。基本的に触れたものを溶かし固めることが出来るから人に触れることが怖かったりするんだけど、まぁ祖父に逆らえずヒーローを目指すことになった。


「上鳴さん!個性で感電とか出来ないんですか!」
「何度も言わすなって…!!無理!」
「ああそうかよ…!」
「じゃあさ…人間スタンガン!」


口調が荒くなってることを気にする余裕なんてなかった。耳郎さんが上鳴さんを足蹴りしてヴィラン側に突き飛ばす。大きな音と電気を纏いどんどん相手を感電させていった。やがて八百万さんの個性で作った厚さ100ミリの絶縁体シートが私たちを覆い上鳴さんの力いっぱいの放電で敵は煙を上げて立ち尽くした。




一定数の空気を固めてそこに乗る。後ろでは耳郎さんと八百万さんが驚いて声を上げた。でもごめんなさい。あの親玉っぽいヴィランを私が倒せば、きっと祖父は私を認めてくれる。ヒーローの卵が、しかも女がヴィランの親玉を撃退したとニュースになればきっとお父さんもお母さんも見てくれる。立派になったねって…戻ってきてくれるかもしれない。二人を見向きもせず移動を始めた。でもダメだ、これじゃ遅い!委員長みたいな足の速さや轟くんや爆豪くんのような個性の使い方ができれば…!しばらく移動を続けていると目的地の方から煙が上がっているのが見え、もしかしたら手遅れなんじゃ…と不安が込み上がってくる。クソ!


「何より、脳無の仇だ…」
「な…緑谷!!?」
「ッオラァァァ!!」
「っ!?溶鳥!?」


間に合った!!緑谷くんもこの手が顔にくっついてる奴に向かって来てるってことはこいつが親玉でしょ!?足より手が出るのが早いところを見るとこいつの個性は触れて何かアクションを起こす個性。それなら…!「溶鳥少女!」オールマイトの声が聞こえたけど無視してその手を掴んで皮膚を少しだけ溶かす。「…あ?」痛ぇなぁ、と抑揚のない声と共に私の顔を凝視するヴィランと目が合う。


「このまま溶かされたくなかったら大人しく捕まれクソヴィラン!!」
「命知らずだなあこの雌餓鬼ィ…」
「あ?このまま心臓止めてやろうか!!」
「死柄木弔!」
「オールマイトから離れろ!」
「二度目はありませんよ…!」


数秒反応に遅れたワープの霧は緑谷くんと手のヴィランの奴の間に入った。私が掴んでない左手は霧の中に突っ込んでおり向こう側の緑谷くんに伸ばされている。まずい…!その時、バキュン!と発砲音が響いて血が吹いた。緑谷くんはそのまま地面に身体を打ち付け、私は「あーあ、来ちゃったな。ゲームオーバーだ」と呟く手のヴィランが後ろに下がろうとするのを阻止しようと動く。


「雌餓鬼…お前のこと殺してから帰ろう」
「残念。あんたのアキレス腱、溶かしちゃったよ?」
「っ…動けねェ!黒霧!」
「待て…!」


あと数センチで届くはずだった私の手はエクトプラズムの分身によって遠ざかった。素早く私を回収して爆豪くんたちが立っている場所に降ろされる。それでも諦めない私の腕を掴んで止めたのは爆豪くんだった。