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「荒牧慶彦、喜びたまえ」
「なに、急になに、」
「秘蔵雑誌を手に入れた」
「秘蔵雑誌」

きたむーこと北村諒が得意げに雑誌を差し出す。

「イケメン声優特集」との文字が踊る。
そんな中目にとまった文字に思わずきたむーの顔を二度見する。

ドヤ顔のきたむー。

慌ててページをめくるった先にあった「変幻自在な松下伊織」との見出し。
黒いニットワンピでアンニュイな表情を浮かべる、伊織さん。
「エロい!」と横から覗き込んできた橋本祥平が声を上げる。

ページをめくれば、ゴスロリ、カラフルな原宿系、スーツ、バンドマン風、花魁と七変化。同じ人とは思えない。
ファンのリクエストからの選出らしいが、ファンのみなさんグッジョブ。普段からは想像がつかない伊織さんが並ぶ。

「これどこで入手したの?!まだ見本誌じゃん!」
「声優の現場で」
「うは〜〜」

パラパラと勝手にめくっていく祥平は「俺、この伊織さんがいちばん似合ってると思う」なんてバンドマン風のカットを指差す。ライダースにゴツめのブーツ。右手のタバコ以外、どちらかというといつもの伊織さんに近い。

「これ、佐藤流司はぜったいこのゴスロリのが好きだと思う」
「あー流司、伊織さんにやたら懐いてるイメージ」
「まりおとりゅうはめっちゃ懐いてるよ」
「俳優界隈でたぶん伊織さんと直接連絡とりあってるの、そめさんひろきさんらへんときたむーと流司くらいじゃない?」
「わかる。恐れ多すぎて」
「燈とか連絡とってそうに見えてLINE知らないっていってたもんな」
「大ちゃんもLINE知ったのこの前だってさ」
「そういう荒牧は?」
「しらない」
「えっそうなの?!」
「ツイッターのDMでやり取りしたくらい」
「えっ荒牧そんなんなの?いっつも伊織さん伊織さんって」
「うるさい!ツイッターは相互フォローだもん、リプ貰えるもん」