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「久保最近江口さん避けてるの?」

スタジオの廊下ですれ違った梅原くんが、アッと声を上げるから何かと思えば。

「飲み会断られまくりって江口さんがへこんでた」
「あー、ね」

心当たりがないといえばウソになる。
あれから、仕事が立て込んでたというのもあるが、団体でもサシでも飲み会に乗り気じゃなかったのはホント。

「江口さん強いから一緒にお酒飲んじゃうと結構酔っちゃうんだよね。酔っちゃうとなに口走るかわかんないし、そのまま勢いで変なこと言ったら嫌だなって」

そう思ったら怖くて、行く気失せちゃった

もともと確信がないと前に進めない、予防線をめちゃくちゃ張り巡らせるタイプなのだ。
それに別に付き合いたいとか、これが恋愛感情なのかとかもイマイチ自分の中で腑に落ちていない。後ろめたさが後ろ髪を引く。
梅原くんはそれを知ってか「キングオブ不器用かよ」と頭を掻く。クイーンといってくれ、せめて。

「久保案外純情だよね、わかるけど」
「この歳で純情ぶるつもりはないんだけど」
「江口さんに言っとくわ、夜景の見えるレストランご所望ですよって」
「そうじゃない、絶対嫌、言わないで、飲み会行くから」
「夜景の見えるレストランより大衆居酒屋が似合うよ」
「全然嬉しくないから。イケボで言われても全然嬉しくない。」
「まあ、恋は鮮度が大事っすよ」

イケメンがいうとなんだか説得力がある。去り際に、がんばってという梅原くんは確実に楽しんでる少年の顔をしていた。