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「珍しい、そんな特集なんか読んでどうしたの」

降ってきた声に顔を上げると染谷さんがニヤっと笑ってこっちをみていた。

「世の女の子の思考を理解しようとおもって」

なぜか事務所に置いてあったファッション誌を適当に拝借してきてパラパラと眺める。「憧れのあの人と!今年のクリスマスデートはこれでカンペキ*」カラフルな文字が流れていく。

「初めてだよ、そんなの読んでるお前みたの」

今年は休み?と聞かれて、首を縦に振る。

マネージャーは意気揚々としてたけど、わたしはおかげで憂鬱。忙しいのに慣れたせいでオフの使い方が下手くそなのだ。突然ならともかく、こんなに前もってオフだと言われてしまうとどうも調子が狂う。その上クリスマスときた。浮かれた街に似合わないんじゃないか。そう思うと突飛なことも手をだしづらい。

「せっかくだし刀剣乱舞見にいこうとおもってるんですけどクリスマスって混んでるかなあって」
「そうだね〜ひとりで?」

苦虫を噛み潰したような顔でひとりでクリスマスに刀剣乱舞か〜と手元の模造刀を弄びながらぼやく染谷さん。

「うん。マネージャーは用事あるんだって。絶対デート。」
「いいじゃん、瑞希もデートとかすれば?」
「クリスマスなんてわたしの周りみんな仕事ですよ」
「たしかに」

クリスマスに寂しくひとりラーメンとか週刊誌にすっぱれ抜かれないでね、と忠告してきたマネージャーの顔を思い出す。その話をしたらお腹抱えて笑われた。全く失礼な人である。

「チケットは?だれかに頼んどこうか」
「大丈夫ですよ。もう頼んだんで」
「誰に」
「北村くん」
「ああ、そっか」

なんとなく染谷さんがいいたいことは察したけど黙っておいた。
息抜きがわりの雑誌を置いてわたしも模造刀を握る。それをみた染谷さんもニヤリと笑って立ち上がった。

「ねえねえ、殺陣の練習したいんだけど」
「したいです〜」

座長らしく頼もしい背中を眺める。

「そういえば北村くん、都合つけば観に行きますって。忙しいくせに。あと麻璃央くんとか流司くんとかも」
「おっ、やったね。杉江も瑞希ちゃんの殺陣見たい!って喚いてた」
「染谷さんが伝説とかわけわかんないこと言いふらすからハードルあがってるんですけど」
「 瑞希ぴょんはその方が燃えるっしょ〜?」
「ブランク考えてください」

前作の幻の城からはそんなに経ってないよ〜と笑う染谷さんは子供みたいに楽しそうだった。なんだか懐かしい気持ちだ。